長野県安曇野市豊科5685番地

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治験に係る標準業務手順書 第8版

安曇野赤十字病院
治験に係る標準業務手順書

第8版 作成日:2022年5月11日

承認者: 病院長 中野 武

 

目次

治験の原則

第1章 目的と適用範囲

第2章 実施医療機関の長の業務

第3章 治験審査委員会

第4章 治験責任医師の業務

第5章 治験使用薬、治験使用機器及び治験使用製品の管理

第6章 治験事務局

第7章 治験コ-ディネータ-の業務

第8章 記録の保存

第9章 業務の委託

第10章 データの信頼性

附則

 

 

 

 

治験の原則

 

治験は次に掲げる原則に則って実施されなければならない。

1.治験はヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則及び平成9年厚生省令第28号(医薬品GCP省令)、平成17年厚生労働省令第36号(医療機器GCP省令)、平成26年厚生労働省令第89号(再生医療等製品GCP省令)並びに関連する通知及び省令等を遵守して行うこと。

2.治験を開始する前に、個々の被験者及び社会にとって期待される利益と予想される危険及び不便とを比較考量すること。期待される利益によって危険を冒すことが正当化される場合に限り、治験を開始し継続すべきである。

3.被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上に対する配慮が最も重要であり、科学と社会のための利益よりも優先されるべきである。

4.治験薬、治験機器及び治験製品に関して、その治験の実施を支持するのに十分な非臨床試験及び臨床試験に関する情報が得られていること。

5.治験は科学的に妥当でなければならず、治験実施計画書にその内容が明確かつ詳細に記載されていること。

6.治験は、治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して実施すること。

7.被験者に対する医療及び被験者のためになされる医療上の決定に関する責任は、医師又は歯科医師が常に負うこと。

8.治験の実施に関与する者は、教育、訓練及び経験により、その業務を十分に遂行しうる要件を満たしていること。

9.全ての被験者から、治験に参加する前に、自由意思によるインフォ-ムド・コンセントを得ること。

10.治験に関する全ての情報は、正確な報告、解釈及び検証が可能なように記録し、取扱い、及び保存すること。本原則は、その媒体によらず、本手順書で規定する全ての記録に適用される。

11.被験者の身元を明らかにする可能性のある記録は、被験者のプライバシ-と秘密の保全に配慮して保護すること。

12.治験薬の製造、取扱い、保管及び管理は、「治験薬の製造管理、品質管理等に関する基準(治験薬GMP)について」(平成20年7月9日付け薬食発第0709002号厚生労働省医薬食品局長通知)を遵守して行うこと。治験機器及び治験製品の製造、取扱い、保管及び管理は、適切な製造管理及び品質管理のもとで行うこと。治験薬、治験機器及び治験製品は治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して使用すること。

13.治験の被験者保護及び治験結果の信頼性確保に必要不可欠な局面の質を保証するための手順を示したシステムを運用すること。

14.治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合には、過失によるものであるか否かを問わず、被験者の損失は適切に補償すること。その際、因果関係の証明等について被験者に負担を課すことがないようにすること。

 

第1章 目的と適用範囲

 

(目的と適用範囲)

第1条 本手順書は平成9年厚生省令第28号(医薬品GCP省令)、平成17年厚生労働省令第36号(医療機器GCP省令)、平成26年厚生労働省令第89号(再生医療等製品GCP省令)並びに関連する通知及び省令等に基づいて、治験の実施に必要な手続きと運営に関する手順を定めるものである。

2 本手順書は、医薬品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売承認申請又は承認事項一部変更承認申請の際に提出すべき資料の収集のために行う治験に対して適用する。

3 医療機器の治験を行う場合には、本手順書において「治験薬」とあるのを「治験機器」、「治験使用薬」を「治験使用機器」、「被験薬」を「被験機器」、「有害事象」を「有害事象及び不具合」などと適切に読み替える。

4 再生医療等製品の治験を行う場合には、本手順書において「治験薬」とあるのを「治験製品」、「治験使用薬」を「治験使用製品」、「被験薬」を「被験製品」、「有害事象」を「有害事象及び不具合」などと適切に読み替える。

5 医薬品、医療機器及び再生医療等製品の再審査申請、再評価申請又は副作用調査の際提出すべき資料の収集のための製造販売後臨床試験を行う場合には、本手順書において、「治験」とあるのを「製造販売後臨床試験」と読み替える。

6 本手順書にある「書式」、「参考書式」は、「新たな『治験の依頼等に係る統一書式』」の一部改正について(医政研発0710第4号、薬生薬審発0710第2号、薬生機審発0710第2号/平成30年7月10日)及び以降の改正に関する通知に定められるものを用いる。ただし、治験依頼者又は外部の治験審査委員会より書式の指定があった場合は、協議の上それを用いてもよい。なお、治験依頼者及び外部の治験審査委員会との合意が得られている場合は、統一書式への押印を省略することができる。統一書式への押印を省略する際の手順については、第6章 治験事務局にて定める。

 

第2章 実施医療機関の長の業務

 

第2条 治験審査委員会は、「治験の原則」に従って、全ての被験者の人権、安全及び福祉を保護しなければならない。

2 治験審査委員会は、社会的に弱い立場にある者を被験者とする可能性のある治験には特に注意を払わなければならない。

3 治験審査委員会は、倫理的、科学的及び医学的・薬学的妥当性の観点から治験の実施及び継続等について審査を行わなければならない。

 

治験委託の申請等

第2条 実施医療機関の長は、事前に治験責任医師より提出された治験分担医師・治験協力者リスト(書式2)を了承し治験責任医師に提出する。また、実施医療機関の長又は治験責任医師は、治験依頼者に治験分担医師・治験協力者リスト(書式2)を提出する。

2 実施医療機関の長は、治験に関する治験責任医師と治験依頼者との文書による合意が成立した後、治験依頼者に治験依頼書(書式3)とともに治験責任医師の履歴書(書式1)及び治験分担医師となるべき者の氏名を記載した文書、治験実施計画書等の審査に必要な資料を提出させる。

 

(治験実施の了承等)

第3条 実施医療機関の長は、治験責任医師に対して治験の実施を了承する前に、治験審査委員会に調査審議を依頼し、当該治験審査委員会の規定する手順書及びそれに関連する手順書(以下、治験審査委員会手順書という)に従って、治験審査依頼書(書式4)、治験責任医師の履歴書(書式1)及び治験分担医師となるべき者の氏名を記載した文書(求めがあった場合には治験分担医師の履歴書)、及び治験実施計画書等の審査の対象となる文書を治験審査委員会に提出し、治験の実施についての意見を求める。

2 実施医療機関の長は、治験審査委員会が治験の実施を承認する決定を下し、又は治験実施計画書、同意文書及びその他の説明文書並びにその他の手順について何らかの修正を条件に治験の実施を承認する決定を下し、その旨を通知してきた場合は、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定を、治験審査結果通知書(書式5)(治験審査委員会委員出欠リストを含む)により、治験責任医師及び治験依頼者に通知する。なお、何らかの修正を必要とされた文書は速やかに最新のものにするよう治験責任医師及び治験依頼者に求める。

3 実施医療機関の長は、治験審査委員会が、修正を条件に治験の実施を承認し、その点につき治験責任医師及び治験依頼者が治験実施計画書等を修正した場合には、治験実施計画書等修正報告書(書式6)及び該当する資料を提出させる。また、治験審査委員会手順書の手続きに従い、治験審査委員会へ治験実施計画書等修正報告書(書式6)及び該当する資料を提出する。

4 実施医療機関の長は、治験審査委員会が治験の実施を却下する決定を下し、その旨を通知してきた場合は、治験の実施を了承することはできない。実施医療機関の長は、治験の実施を了承できない旨の実施医療機関の長の決定を、治験審査結果通知書(書式5)(治験審査委員会委員出欠リストを含む)により、治験責任医師及び治験依頼者に通知する。

5 実施医療機関の長は、治験審査委員会の審査結果について異議がある場合は、文書により治験審査委員会へ異議申立てを行い、異議申立てに対する治験審査委員会の回答を文書により受領する。治験責任医師あるいは治験依頼者より異議申立てを受けた場合も同様とし、実施医療機関の長は、治験審査委員会より受領した回答書により治験責任医師あるいは治験依頼者へ通知する。また、第5条第2項、第6条第2項、第7条、第8条、第9条についても同様の手続きを行う。

6 実施医療機関の長は、治験依頼者から治験審査委員会の審査結果を確認するために審査に用いられた治験実施計画書等の文書の入手を求める旨の申し出があった場合には、これに応じなければならない。

7 本条第2項の実施医療機関の長の指示、決定の通知の際、実施医療機関の長の指示、決定が治験審査委員会の決定と異なる場合は、実施医療機関の長は治験審査結果通知書(書式5)とともに治験に関する指示・決定通知書(参考書式1)により、治験依頼者及び治験責任医師に通知する。また、第5条第2項、第6条第2項、第7条、第8条、第9条についても同様の手続きを行う。

 

(治験実施の契約等)

第4条 実施医療機関は、実施医療機関の長が治験審査委員会の意見に基づいて治験の実施を了承した後、治験依頼者と治験契約書により契約を締結し、双方が記名又は署名し、押印と日付を付す。実施医療機関の契約者については、実施医療機関の長又は実施医療機関の長が選任した者のいずれでも差し支えないが、その責任は実施医療機関の長が負う。なお、治験依頼者による治験の準備及び管理に関する業務、実施医療機関における治験の実施に関する業務が円滑に実施できる場合にあっては、治験依頼者及び実施医療機関の間、並びに治験依頼者及び開発業務受託機関の間で、適切な契約を文書により締結することで差し支えない。また、治験依頼者、開発業務受託機関と三者で合意の上、開発業務受託機関と二者にて契約できる。

2 治験責任医師は、契約内容の確認を行う。

3 治験審査委員会が修正を条件に治験の実施を承認した場合には、実施医療機関は第3条第3項の規定により実施医療機関の長が修正事項を確認した後に、治験契約書により契約を締結するとともに、治験責任医師は本条前項に従う。

4 治験契約書の内容を変更する際には、本条第1項に準じて覚書を締結するとともに、治験責任医師は本条第2項に従う。

 

(治験の継続)

第5条 実施医療機関の長は、実施中の治験において治験の期間が1年を超える場合には、少なくとも年1回、治験責任医師に治験実施状況報告書(書式11)を提出させ、治験審査委員会手順書の手続きに従い、治験の継続について治験審査委員会の意見を求める。

2 実施医療機関の長は、治験審査委員会の審査結果に基づく実施医療機関の長の指示、決定を、治験審査結果通知書(書式5)(治験審査委員会委員出欠リストを含む)により、治験責任医師及び治験依頼者に通知する。修正を条件に承認する場合には、第3条第3項に準じる。

3 実施医療機関の長は、治験審査委員会が実施中の治験の継続審査等において、治験審査委員会が既に承認した事項の取り消し(治験の中止又は中断を含む)の決定を下し、その旨を通知してきた場合は、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定を、治験審査結果通知書(書式5)(治験審査委員会委員出欠リストを含む)により、治験責任医師及び治験依頼者に通知する。

4 実施医療機関の長は、治験依頼者から治験審査委員会の継続審査等の結果を確認するために審査に用いられた治験実施計画書等の文書の入手を求める旨の申し出があった場合には、これに応じなければならない。

 

(治験実施計画書等の変更)

第6条 実施医療機関の長は、治験期間中、治験審査委員会の審査対象となる文書が追加、更新又は改訂された場合は、治験責任医師又は治験依頼者から、それらの該当文書のすべてを速やかに提出させ、それらの文書を治験審査委員会に提出する。

2 実施医療機関の長は、治験責任医師及び治験依頼者より治験に関する変更申請(書式10)があった場合には、治験審査委員会手順書に従って治験の継続の適否について、治験審査委員会の意見を求め、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定を、治験審査結果通知書(書式5)(治験審査委員会委員出欠リストを含む)により、治験責任医師及び治験依頼者に通知する。

3 実施医療機関の長は、治験責任医師又は治験依頼者から治験の継続に影響を及ぼさない情報を入手した場合は、治験審査委員会の調査審議を不要と判断できる。治験の継続に影響を及ぼさない情報とは、以下の事項をいう。

  1. 治験依頼者の組織・体制の変更(所在地又は電話番号の変更を含む)
  2. 担当モニターの変更
  3. 当該実施医療機関以外の実施医療機関の組織・体制の変更(所在地又は電話番号の変更を含む)
  4. その他の治験の継続に影響を及ぼさない情報

上記については、提出された文書を保管する。

 

(治験実施計画書からの逸脱)

第7条 実施医療機関の長は、治験責任医師より、緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する報告(書式8)があった場合は、治験審査委員会手順書に従って治験審査委員会の意見を求め、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定を治験審査結果通知書(書式5)(治験審査委員会委員出欠リストを含む)により、治験責任医師及び治験依頼者に通知する。また、実施医療機関の長は、緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する通知書(書式9)を治験依頼者より得る。

 

(重篤な有害事象等の発生)

第8条 実施医療機関の長は、治験責任医師より重篤な有害事象等に関する報告(書式12、13、14、15、19、20、詳細記載用書式又は各治験実施計画書に定める様式)があった場合は、治験の継続の適否について、治験審査委員会の意見を求め、実施医療機関の長の指示、決定を治験審査結果通知書(書式5)(治験審査委員会委員出欠リストを含む)により治験責任医師及び治験依頼者に通知する。

 

(新たな安全性に関する情報の入手)

第9条 実施医療機関の長は、治験依頼者より安全性情報等に関する報告書(書式16)を入手した場合は、治験審査委員会手順書に従って、治験の継続の適否について意見を求め、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定を治験審査結果通知書(書式5)(治験審査委員会委員出欠リストを含む)により治験責任医師及び治験依頼者に通知する。

なお、あらかじめ治験依頼者、治験審査委員会及び実施医療機関の長の合意が得られている場合には、治験依頼者が治験審査委員会に安全性情報等に関する報告書(書式16)を提出することにより、実施医療機関の長が本規定に基づき治験審査委員会へ意見を求めたものとみなす。また、これに基づく治験審査委員会からの治験の継続の適否についての意見に限り、治験審査委員会が実施医療機関の長に加えて治験責任医師及び治験依頼者にも同時に治験審査結果通知書(書式5)(治験審査委員会委員出欠リストを含む)にて通知することにより、治験審査委員会の意見を実施医療機関の長が治験依頼者及び治験責任医師に通知したものとみなす。

2 治験安全性最新報告概要及び国内重篤副作用等症例の発現状況一覧において副作用等症例の発現がなかった場合又は安全性情報の取下げ報告であった場合には、実施医療機関の長はその情報を治験審査委員会へ提供する。安全性情報等に関する報告書(書式16)を添えて当該資料が提出された場合においても、原則として本手順に従う。

 

(治験の中止、中断及び終了)

第10条 実施医療機関の長は、治験依頼者が治験の中止又は中断、若しくは被験薬の開発中止を決定し、その旨を文書(書式18)で通知してきた場合は、治験責任医師及び治験審査委員会に対し、速やかにその旨を文書(書式18)により通知する。なお、通知の文書には、中止又は中断についての詳細が説明されていなければならない。また、治験終了(中止・中断)報告書(書式17)で治験依頼者に通知するとともに、治験審査委員会に提出する。

2 実施医療機関の長は、治験責任医師が治験を中止又は中断し、その旨を報告(書式17)してきた場合は、速やかに治験依頼者及び治験審査委員会に対し、文書(書式17)により通知する。

3 実施医療機関の長は、治験責任医師が治験の終了を報告(書式17)してきた場合は、速やかに治験依頼者及び治験審査委員会に対し、文書(書式17)により通知する。

 

(直接閲覧)

第11条 実施医療機関の長は、治験依頼者によるモニタリング及び監査並びに治験審査委員会及び国内外の規制当局による調査を受け入れる。これらの場合には、モニター、監査担当者、治験審査委員会又は国内外の規制当局の求めに応じ、原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供する。病院長から治験終了(中止・中断)報告書(書式17)にて通知した後または治験依頼者から開発の中止等に関する報告書(書式18)を受領後に、被験者情報に係るモニタリングの申込があった場合は、理由と目的等について十分に検討し、受け入れる場合には、その旨を記録に残す。

 

第3章 治験審査委員会

(治験審査委員会への依頼)

第12条 実施医療機関の長は、治験の実施の適否及びその他の治験に関する調査審議を行うために十分な人員が確保され、かつ、倫理的、科学的及び医学的・薬学的観点から審議及び評価することができる治験審査委員会を治験ごとに適切に選択し、調査審議の依頼を行う。実施医療機関の長は、外部の治験審査委員会を選択した場合、治験審査委員会の求めに応じ、実施医療機関の治験実施体制等について文書等の方法で情報提供する。また、当該治験審査委員会の設置者と文書による契約を締結する。

2 実施医療機関の長は、前項の治験審査委員会の選択にあたり、当該治験審査委員会の最新の委員名簿(各委員の資格を含む)及び治験審査委員会手順書を入手する。なお、治験依頼者から、治験審査委員会手順書及び委員名簿の提示を求められた場合には、これに応じる。

3 実施医療機関の長は、当該実施医療機関に対する治験の実施の適否及びその他の治験に関する調査審議を依頼した治験審査委員会に出席することはできるが、審議及び採決に参加することはできない。

 

第4章 治験責任医師の業務

(治験責任医師の要件)

第13条 治験責任医師は、以下の要件を満たさなくてはならない。

  1. 治験責任医師は、教育・訓練及び経験によって、治験を適正に実施しうる者でなければならない。
  2. 治験責任医師は、治験依頼者と合意した治験実施計画書、最新の治験薬概要書、製品情報及び治験依頼者が提供するその他の文書に記載されている治験使用薬の適切な使用法に十分精通していなければならない。
  3. 治験責任医師は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第3項及び第80条の2に規定する基準、医薬品GCP省令、医療機器GCP省令並びに再生医療等製品GCP省令を熟知し、これを遵守しなければならない。
  4. 治験責任医師は、治験依頼者によるモニタリング及び監査並びに治験審査委員会並びに国内外の規制当局による調査を受け入れなければならない。治験責任医師は、モニター、監査担当者、治験審査委員会又は国内外の規制当局の求めに応じて、原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供しなければならない。
  5. 治験責任医師は、合意された募集期間内に必要数の適格な被験者を集めることが可能であることを過去の実績等により示すことができなければならない。
  6. 治験責任医師は、合意された期間内に治験を適正に実施し、終了するに足る時間を有していなければならない。
  7. 治験責任医師は、治験を適正かつ安全に実施するため、治験の予定期間中に十分な数の治験分担医師及び治験協力者等の適格なスタッフを確保でき、また適切な設備を利用できなければならない。
  8. 治験責任医師は、実施医療機関に常勤している者又は非常勤であっても一定の勤務実態がある者でなければならない。

 

(治験責任医師の責務)

第14条 治験責任医師は次の事項を行う。

  1. 第13条 1)の要件を満たしていることを証明する最新の履歴書(書式1)及び治験分担医師を置く場合には当該治験分担医師となるべき者の氏名を記載した文書(求めがあった場合には治験分担医師の履歴書)を、治験依頼者に提出する。
  2. 治験関連の重要な業務の一部を治験分担医師又は治験協力者に分担させる場合には、分担させる業務と分担させる者のリスト(書式2)を作成し、予め実施医療機関の長に提出し、その了承を受ける。
  3. 治験分担医師、治験協力者等に、治験実施計画書、治験使用薬及び各人の業務について十分な情報を与え、指導及び監督する。
  4. 治験を実施する際の個々の被験者の選定にあたっては、人権保護の観点から、治験実施計画書に定められた被験者の選択・除外基準に基づき、治験の目的に応じ、健康状態、症状、年齢、性別、同意能力、治験責任医師等との依存関係、他の治験への参加の有無等を考慮し、治験に参加を求めることの適否を慎重に検討すること。
  5. 同意能力を欠く者については、当該治験の目的上、被験者とすることがやむを得ない場合を除き、原則として被験者としないこと。
  6. 社会的に弱い立場にある者を被験者とする場合には、特に慎重な配慮を払うこと。
  7. 治験実施計画書について治験依頼者と合意する前に、治験依頼者から提供される治験実施計画書案、最新の治験薬概要書又は科学的知見を記載した文書及びその他必要な資料・情報に基づき治験調整医師並びに治験依頼者と協議し、当該治験を実施することの倫理的及び科学的妥当性について十分検討すること。治験実施計画書が改訂される場合も同様である。
  8. 治験実施計画書の内容及び当該治験実施計画書を遵守することについて治験依頼者と合意する。この合意を証するため、治験実施計画書又はそれに代わる文書に治験依頼者と共に署名し、各自日付を記入する。治験実施計画書が改訂される場合も同様である。
  9. 治験実施の申請をする前に、治験依頼者の協力を得て、被験者から治験の参加に関する同意を得るために用いる同意文書及びその他の説明文書を作成すること。
  10. 治験実施前及び治験期間を通じて、治験審査委員会の審査の対象となる文書のうち、治験責任医師が提出すべき文書を最新のものにすること。当該文書が追加、更新又は改訂された場合は、その全てを速やかに実施医療機関の長に提出すること。
  11. 治験審査委員会が治験の実施又は継続を承認し、又は何らかの修正を条件に治験の実施又は継続を承認し、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定が文書(書式5又は参考書式1)で通知された後に、その指示、決定に従って治験を開始又は継続すること。又は、治験審査委員会が実施中の治験に関して承認した事項を取り消し(治験の中止又は中断を含む)、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定が文書で通知(書式5)された場合には、その指示、決定に従うこと。なお、何らかの修正を必要とされた文書は速やかに最新のものにすること。
  12. 治験審査委員会の審査結果について異議がある場合には、実施医療機関の長を通して治験審査委員会へ文書により異議申立てを行うこと。異議申立てに対する治験審査委員会の回答を、実施医療機関の長を通して文書により受領すること。
  13. 治験審査委員会が当該治験の実施を承認し、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定が文書で通知(書式5又は参考書式1)される前に、被験者を治験に参加させないこと。
  14. 本手順書第18条で規定する場合を除いて、治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して治験を実施すること。
  15. 治験使用薬を承認された治験実施計画書を遵守した方法のみで使用すること。
  16. 治験使用薬の正しい使用法を各被験者に説明、指示し、当該治験使用薬にとって適切な間隔で、各被験者が説明された指示を正しく守っているか否かを確認すること。
  17. 実施中の治験において治験の期間が1年を超える場合には、少なくとも年1回、実施医療機関の長に治験実施状況報告書(書式11)を提出すること。
  18. 治験の実施に重大な影響を与え、又は被験者の危険を増大させるような治験のあらゆる変更について、実施医療機関の長に速やかに申請書(書式10)を提出するとともに、変更の適否について実施医療機関の長の指示(書式5又は参考書式1)を受けること。
  19. 治験実施中に重篤な有害事象等が発生した場合は、直ちに実施医療機関の長及び治験依頼者に文書(書式12、13、14、15、19、20、詳細記載用書式又は各治験実施計画書に定める様式)で報告し、治験の継続の適否について実施医療機関の長の指示(書式5又は参考書式1)を受けること。
  20. 治験実施計画書の規定並びに症例報告書の作成の手引きがある場合は、これに従って正確な症例報告書を作成し、氏名を記載し、治験依頼者に提出すること。また、治験分担医師が作成した症例報告書については、その内容を点検し、問題がないことを確認した上で氏名を記載すること。また、治験依頼者に提出した症例報告書の写しを保存すること。
  21. 治験終了後、速やかに実施医療機関の長に治験の終了報告書(書式17)を提出すること。なお、治験が中止又は中断された場合においても同様の手続きを行うこと。

 

(被験者の同意の取得)

第15条 治験責任医師及び治験分担医師は、被験者が治験に参加する前に、被験者に対して同意文書及びその他の説明文書を用いて十分に説明し、治験への参加について自由意思による同意を文書により得る。

2 同意文書には、説明を行った治験責任医師又は治験分担医師、被験者が署名し、各自日付を記入する。治験協力者が補足的な説明を行った場合には、当該治験協力者も署名し、日付を記入する。

3 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者が治験に参加する前に、前項の規定に従って署名と日付が記入された同意文書の写し及びその他の説明文書を被験者に渡さなければならない。また、被験者が治験に参加している間に、同意文書及びその他の説明文書が改訂された場合は、その都度新たに前項の規定に従って署名と日付を記入した同意文書の写し及び改訂されたその他の説明文書を被験者に渡さなければならない。

4 治験責任医師、治験分担医師及び治験協力者は、治験への参加又は治験への参加の継続に関し、被験者に強制したり又は不当な影響を及ぼしてはならない。

5 同意文書及びその他の説明文書並びに説明に関して口頭で提供される情報には、被験者に権利を放棄させるかそれを疑わせる語句、又は治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、実施医療機関、治験依頼者の法的責任を免除するかそれを疑わせる語句が含まれていてはならない。

6 口頭及び文書による説明並びに同意文書には、被験者が理解可能で、可能な限り非専門的な言葉が用いられていなければならない。

7 治験責任医師又は治験分担医師は、同意を得る前に、被験者が質問をする機会と、治験に参加するか否かを判断するのに十分な時間を与えなければならない。その際、当該治験責任医師、治験分担医師又は補足的説明者としての治験協力者は、全ての質問に対して被験者が満足するよう答えなければならない。

8 被験者の同意に関連し得る新たな情報が得られた場合には、治験責任医師は、速やかに当該情報に基づき同意文書及びその他の説明文書を改訂し、予め治験審査委員会の承認を得なければならない。また、治験責任医師又は治験分担医師は、すでに治験に参加している被験者に対しても、当該情報を直ちに被験者に伝え、治験に継続して参加するか否かについて、被験者の意思を確認するとともに、治験審査委員会により承認された改訂後の同意文書及びその他の説明文書を用いて改めて説明し、治験への参加の継続について被験者から自由意思による同意を文書で得なければならない。

注)新たな安全性に関する情報の入手 第9条参照

9 治験に継続して参加するか否かについての被験者の意思に影響を与える可能性のある情報が得られた場合には、治験責任医師又は治験分担医師は、当該情報を直ちに被験者に伝え、治験に継続して参加するか否かについて被験者の意思を確認しなければならない。この場合、当該情報が被験者に伝えられたことを文書に記録しなければならない。

10 被験者の同意取得が困難な場合、治験責任医師又は治験分担医師は、代諾者となるべき者に対して説明文書を用いて十分説明し、治験への参加について文書による同意を得る。この場合、同意に関する記録とともに代諾者と被験者との関係を示す記録を残す。

11 被験者が説明文書を読むことができないが口頭又は他の伝達方法ではその内容を理解することができる場合、立会人を立ち会わせた上で説明し、同意を得る。この場合、立会人も同意文書に署名し、日付を記入する。なお、立会人は治験責任医師、治験分担医師及び治験協力者であってはならない。

12 被験者が説明文書を読むこと及び内容を理解することはできるが、疾病等の影響で自ら同意文書に署名し、日付を記入することができない場合、代諾者と同等の代筆者となるべき者に対して説明文書を用いて十分説明し、被験者は口頭で同意する。代筆者は同意文書にその旨を代筆し、経緯及び被験者との関係を記入した上で、自らも署名し日付を記入する。必要な場合、前項に従い立会人を立ち会わせて同意を得る。

13 非治療的治験を実施する場合、必ず被験者となるべき者から同意を得なければならない。ただし、次の1)から4)に掲げる事項が全て満たされる場合には、被験者となるべき者の代諾者による同意を得て治験を行うことができるが、治験責任医師又は治験分担医師は、このような被験者に対しては、特に綿密な観察を行い、不当な苦痛を受けていると見受けられた場合には治験を中止しなければならない。

  1. 治験の目的が、本人による同意が可能な被験者による治験では達成されないこと
  2. 被験者に対する予見しうる危険性が低いこと
  3. 被験者の福祉に対する悪影響が最小限とされ、かつ低いこと
  4. 代諾者となるべき者の同意に基づいて被験者を治験に組み入れる旨を明示した上で治験審査委員会に承認の申請がなされ、かかる被験者の参加を承認する旨が承認文書に記載されていること

14 緊急状況下における救命的治験の場合、医薬品GCP省令第55条第1項又は医療機器GCP省令及び再生医療等製品GCP省令第75条第1項に規定される各号の全てに該当する場合に限り、被験者及びその代諾者となるべき者の同意を得ずに被験者を治験に参加させることができる。この場合でも、被験者又はその代諾者に対しできるだけ速やかに当該治験に関する説明を行い、治験の継続及びその他適切な事項について文書による同意を得なければならない。また、身元が明らかでない者は治験の対象としてはならない。

 

(被験者に対する医療)

第16条 治験責任医師は、治験に関連する医療上の全ての判断に責任を負う。

2 実施医療機関の長及び治験責任医師は、被験者の治験参加期間中及びその後を通じ、治験に関連した臨床上問題となる全ての有害事象に対して、十分な医療が被験者に提供されることを保証する。また、治験責任医師又は治験分担医師は、有害事象に対する医療が必要となったことを知った場合には、被験者にその旨を伝えなければならない。

3 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者に他の主治医がいるか否かを確認し、被験者の同意のもとに、主治医に被験者の治験への参加について知らせなければならない。

4 被験者が治験の途中で参加を取り止めようとする場合、又は取り止めた場合には、被験者はその理由を明らかにする必要はないが、治験責任医師又は治験分担医師は、被験者の権利を十分に尊重した上で、その理由を確認するための適切な努力を払わなければならない。

 

(緊急時の対応)

第17条 治験責任医師又は治験分担医師は、治験開始前に被験者に対し、緊急時の連絡先として治験責任医師、治験分担医師及び治験協力者の電話番号等を伝えておく。なお、治験実施中に被験者に緊急事態が発生した場合、次の体制に従って対応する。

(1)実施医療機関に治験責任医師が在席している場合若しくは被験者が緊急事態に陥った旨の連絡を治験責任医師が受けた場合、治験責任医師は、十分な医療を提供する。

(2)実施医療機関に治験責任医師が在席していない場合若しくは被験者が緊急事態に陥った旨の連絡を治験分担医師又は治験協力者が受けた場合、実施医療機関にいた者若しくは連絡を受けた者は、治験責任医師に連絡し、治験責任医師は(1)に従って対応する。

(3)実施医療機関に治験責任医師が在席しておらず、かつ治験責任医師と連絡が取れない場合、実施医療機関にいた者若しくは連絡を受けた者が(1)に従って対応し、対応後治験責任医師へ報告する。

 

(治験実施計画書からの逸脱等)

第18条 治験責任医師又は治験分担医師は、治験依頼者との事前の文書による合意及び治験審査委員会の事前の審査に基づく文書による承認を得ることなく、治験実施計画書からの逸脱又は変更を行ってはならない。ただし、被験者の緊急の危険を回避するためのものであるなど医療上やむを得ないものである場合又は治験の事務的事項のみに関する変更である場合には、この限りではない。

2 治験責任医師又は治験分担医師は、承認された治験実施計画書から逸脱した行為を全て記録しなければならない。治験責任医師は、逸脱した行為のうち被験者の緊急の危険を回避するためその他医療上やむを得ない理由により治験実施計画書に従わなかったものについて、その理由等を記載した文書(書式8)を作成し、直ちに治験依頼者及び実施医療機関の長に提出し、その文書を保存しなければならない。

3 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者の緊急の危険を回避するためのものである等医療上やむを得ない事情のために、治験依頼者との事前の文書による合意及び治験審査委員会の事前の承認なしに治験実施計画書からの逸脱又は変更を行うことができる。その際には、治験責任医師は、逸脱又は変更の内容及び理由並びに治験実施計画書の改訂が適切な場合には、その案を可能な限り早急に治験依頼者並びに実施医療機関の長及び実施医療機関の長を経由して治験審査委員会に提出(書式8)してその承認を得るとともに、実施医療機関の長の了承及び実施医療機関の長を経由して治験依頼者の合意を文書(書式9)で得なければならない。

 

第5章 治験使用薬、治験使用機器及び治験使用製品の管理

 

(治験使用薬の管理)

第19条 治験使用薬の管理責任は、実施医療機関の長が負う。

2 実施医療機関の長は、治験使用薬を保管、管理させるため医師又は薬剤師を治験薬管理者とし、当該治験使用薬を管理させる。また、治験薬が麻薬の場合は、麻薬管理者を治験薬管理者として選任する。なお、治験薬管理者は必要に応じて治験薬管理補助者を指名し、自らの監督・指導のもと、治験薬管理者の業務を代行させることができる。

3 治験薬管理者は、治験依頼者が作成した治験使用薬の取り扱い及び保管、管理並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書(以下「治験薬の取扱い手順書」という)に従って、並びに医薬品GCP省令を遵守して適正に治験使用薬を保管、管理する。また、必要な場合は以下の通り対応する。

  1. 実施医療機関において未使用治験使用薬(被験者からの未使用返却治験使用薬、使用期限切れ治験使用薬、欠陥品を含む)を廃棄する場合、治験薬の取扱い手順書及び実施医療機関が作成した治験使用薬廃棄に関する手順書に基づき対応する。
  2. 実施医療機関が在庫として保管するものの中から治験使用薬として使用する場合、実施医療機関にて定める取扱い、保管、管理及び処方等に係る手順に基づき対応する。
  3. 治験の内容(治験使用薬の性質、投与経路及び投与期間等)及び被験者の状態等を考慮した上で、治験責任医師の責任のもと実施医療機関から被験者宅に治験使用薬を配送等により交付する場合、配送等に関する手順に基づき対応する。また、運送業者との間で業務内容を記載した文書による契約を締結する。

4 治験薬管理者は次の業務を行う。

1)治験使用薬を受領し、治験使用薬受領書を発行する。

2)治験使用薬の保管、管理及び払い出しを行う。

3)治験使用薬管理表を作成し、治験使用薬の使用状況及び治験進捗状況を把握する。

4)被験者からの未使用治験使用薬の返却記録を作成する。

5)未使用治験使用薬を治験依頼者に返却し、未使用治験使用薬返却書を発行する。又は実施医療機関で廃棄し、廃棄に関する記録を作成する。

6)その他、第3項の治験薬の取扱い手順書及び実施医療機関が定めた手順等に従う。

5 治験薬管理者は、治験実施計画書に規定された量の治験使用薬が被験者に投与されていることを確認する。

 

(治験使用機器の管理)

第20条 治験使用機器の管理責任は、実施医療機関の長が負う。

2 実施医療機関の長は、治験使用機器を保管、管理及び保守点検させるため医師、薬剤師、臨床工学技士、臨床検査技師、診療放射線技師等、当該治験使用機器の管理に必要な知識と経験を有する者を治験機器管理者とし、当該治験使用機器を管理させる。なお、治験機器管理者は必要に応じて治験機器管理補助者を指名し、自らの監督・指導のもと、治験機器管理者の業務を代行させることができる。

3 治験機器管理者は、治験依頼者が作成した治験使用機器の取り扱い及び保管、管理、保守点検並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書(以下「治験機器の取扱い手順書」という)に従って、並びに医療機器GCP省令を遵守して適正に治験使用機器を保管、管理、保守点検する。また、必要な場合は以下の通り対応する。

  1. 実施医療機関において未使用治験使用機器(被験者からの未使用返却治験使用機器、使用期限切れ治験使用機器、欠陥品を含む)を廃棄する場合、治験機器の取扱い手順書及び実施医療機関が作成した治験使用機器廃棄に関する手順書に基づき対応する。
  2. 実施医療機関が在庫として保管するものの中から治験使用機器として使用する場合、実施医療機関にて定める取扱い、保管及び管理等に係る手順に基づき対応する。

4 治験機器管理者は次の業務を行う。

1)治験使用機器を受領し、治験使用機器受領書を発行する。

2)治験使用機器の保管、管理及び払い出しを行う。

3)治験使用機器管理表を作成し、治験使用機器の使用状況及び治験進捗状況を把握する。

4)被験者からの未使用治験使用機器の返却記録を作成する。

5)未使用治験使用機器を治験依頼者に返却し、未使用治験使用機器返却書を発行する。又は実施医療機関で廃棄し、廃棄に関する記録を作成する。

6)その他、第3項の治験機器の取扱い手順書及び実施医療機関が定めた手順等に従う。

5 治験機器管理者は、治験実施計画書に規定された数量の治験使用機器が被験者に使用されていることを確認する。

 

(治験使用製品の管理)

第21条 治験使用製品の管理責任は、実施医療機関の長が負う。

2 実施医療機関の長は、治験使用製品を保管、管理させるため医師、薬剤師等、当該治験使用製品の管理に必要な知識と経験を有する者を治験製品管理者とし、当該治験使用製品を管理させる。なお、治験製品管理者は必要に応じて治験製品管理補助者を指名し、自らの監督・指導のもと、治験製品管理者の業務を代行させることができる。

3 治験製品管理者は、治験依頼者が作成した治験使用製品の取り扱い及び保管、管理並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書(以下「治験製品の取扱い手順書」という)に従って、並びに再生医療等製品GCP省令を遵守して適正に治験使用製品を保管、管理する。また、必要な場合は以下の通り対応する。

  1. 実施医療機関において未使用治験使用製品(使用期限切れ治験使用製品、欠陥品を含む)を廃棄する場合、治験製品の取扱い手順書及び実施医療機関が作成した治験使用製品廃棄に関する手順書に基づき対応する。
  2. 実施医療機関が在庫として保管するものの中から治験使用製品として使用する場合、実施医療機関にて定める取扱い、保管、管理及び処方等に係る手順に基づき対応する。
  3. 治験の内容(治験使用製品の性質、使用方法及び使用期間等)及び被験者の状態等を考慮した上で、治験責任医師の責任のもと実施医療機関から被験者宅に治験使用製品を配送等により交付する場合、配送等に関する手順に基づき対応する。また、運送業者との間で業務内容を記載した文書による契約を締結する。

4 治験製品管理者は次の業務を行う。

1)治験使用製品を受領し、治験使用製品受領書を発行する。

2)治験使用製品の保管、管理及び払い出しを行う。

3)治験使用製品管理表を作成し、治験使用製品の使用状況及び治験進捗状況を把握する。

4)未使用治験使用製品を治験依頼者に返却し、未使用治験使用製品返却書を発行する。又は実施医療機関で廃棄し、廃棄に関する記録を作成する。

5)その他、第3項の治験製品の取扱い手順書及び実施医療機関が定めた手順等に従う。

5 治験製品管理者は、治験実施計画書に規定された量の治験使用製品が被験者に使用されていることを確認する。

 

第6章 治験事務局

 

(治験事務局の設置及び業務)

第22条 実施医療機関の長は、治験の実施に関する事務及び支援を行う者を指定し、治験事務局を設ける。

2 治験事務局は、実施医療機関の長又は治験責任医師の指示により、次の業務を行う。

1)治験依頼者に対する必要書類の交付と治験依頼手続きの説明

2)治験依頼書及び治験審査委員会が審査の対象とする審査資料の受付

3)治験審査結果通知書(書式5)に基づく実施医療機関の長の治験に関する指示・決定通知書の作成と治験依頼者及び治験責任医師への通知書の交付(治験審査委員会の審査結果を確認するために必要とする文書の治験依頼者への交付を含む)

4)治験契約に係る手続き等の業務

5)治験終了(中止)報告書の受領及び治験終了(中止)通知書の交付

6)記録の保存

7)被験者への負担軽減費の支払(支払がある場合)

8)治験の実施に必要な文書の作成補助

9)治験に係る標準業務手順書の見直し

10)その他治験に関する業務の円滑化を図るために必要な事務及び支援

なお、7)の負担軽減費の支払については、実施医療機関内に定める規定に従う。

3 治験事務局の業務のうち、統一書式の作成、授受及び保存については、以下の通りとする。

1)書式への押印を省略する場合であっても、緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する報告書(書式8)、重篤な有害事象等に関する報告書(書式12、13、14、15、19、20)については、治験責任医師の記名押印又は署名を必要とする。

2)押印を省略する書式については、本手順書に則って治験事務局が作成し発行する。この場合、実施医療機関の長及び治験責任医師の指示があったものとみなすが、治験事務局で作成した文書に関する最終責任は、医薬品GCP省令、医療機器GCP省令、再生医療等製品GCP省令で規定された作成責任者が負う。 

3)書式の変更や再発行等が発生した場合は、作成責任者に報告あるいは確認し、その経緯を残す。

4)書式の授受については、治験依頼者と協議の上で決定する。

5)書式の保存については、治験依頼者から特に要望がない限り、原則として紙で保存する。

 

(治験に係る標準業務手順書の作成・改訂の経緯)

第23条 治験事務局は、少なくとも年に1回本手順書の見直しを行い、法令・法規等の改正や実施医療機関の組織変更等、必要に応じて本手順書を改訂し、実施医療機関の長の承認を得る。なお、改訂箇所及び改訂理由を記録し、改訂版には表紙に作成日を付す。

 

第7章 治験コ-ディネータ-の業務

 

(治験コーディネーターの業務)

第24条 治験コーディネーターは、治験責任医師の指導・監督の下、医学的判断を伴わない治験に関する業務を行う。なお、治験コーディネーター業務は下記の通りである。

・治験の対象となる被験者の適格性の調査

・治験の進捗状況の管理

・症例報告書作成支援、有害事象発生時の対応、その他治験実施に関わる治験協力者としての業務

・被験者に対する管理(インフォームド・コンセントの取得補助、来院スケジュールの調整等) 

・治験の対象となる被験者の募集支援

・治験使用薬、治験使用機器及び治験使用製品の管理に関する補助業務

・その他治験に関する業務の円滑化を図るために必要な業務

 

第8章 記録の保存

 

(記録の保存責任者)

第25条 実施医療機関の長は、実施医療機関において保存すべき治験に係る文書又は記録の保存責任者を指名する。

注)「治験に係る文書又は記録について」(令和2年8月31日事務連絡)に添付される「治験に係る文書又は記録」一覧、「医療機器の治験に係る文書又は記録について」(令和2年8月31日事務連絡)に添付される「治験に係る文書又は記録」一覧及び以降の改正に関する通知に定められるものを参照

2 記録ごとに定める保存責任者は次のとおりとする。

1)診療録・検査デ-タ・同意文書等:実施医療機関の長

2)治験審査委員会に関する文書及び治験受託に関する文書等(治験の実施に関する重要な事項に係る治験依頼者との書簡、会合、電話連絡等に関する記録を含む):治験事務局長

注)重要な事項とは、治験実施計画書からの逸脱、適格性の確認、治験実施計画書の解釈、報告書提出前の重篤な有害事象等の連絡、被験者の安全性に関わる事項等をいう。

3)治験使用薬に関する記録(第19条参照):治験薬管理者

4)治験使用機器に関する記録(第20条参照):治験機器管理者

5)治験使用製品に関する記録(第21条参照):治験製品管理者

3 治験審査委員会に関して保存する文書は以下のものである。

1)委員名簿(各委員の資格を含む)

2)治験審査委員会手順書

4 実施医療機関の長又は記録の保存責任者は、実施医療機関において保存すべき治験に係る文書又は記録が第26条第1項に定める期間中に紛失又は廃棄されることがないように、また、求めに応じて提示できるよう措置を講じる。

 

(記録の保存期間)

第26条 実施医療機関の長は、実施医療機関において保存すべき治験に係る文書又は記録を、1)又は2)の日のうち後の日までの間保存する。なお、製造販売後臨床試験の場合は3)の日まで保存する。ただし、治験依頼者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には、保存期間及び保存方法について治験依頼者と協議する。

1)当該被験薬に係る医薬品の製造販売承認日(開発の中止若しくは治験の成績が承認申請書に添付されない旨の通知を受けた場合には、通知を受けた日から3年が経過した日)(再生医療等製品治験の場合は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第23条の26第1項の規定により条件及び期限を付したものを除く。)

2)治験の中止又は終了後3年が経過した日

3)製造販売後臨床試験の場合は、当該被験薬の再審査又は再評価が終了する日

2 実施医療機関の長は、治験依頼者より前項にいう承認取得あるいは開発中止の連絡を受ける(書式18)。

 

第9章 業務の委託

 

(治験施設支援機関)

第27条 実施医療機関の長は、実施医療機関における治験事務局業務、治験コーディネーター業務、実施医療機関において保存すべき治験に係る文書又は記録の保管及びその他治験に関する業務の円滑化を図るために必要な業務を治験施設支援機関に委託し、支援させることができる。その場合は以下の手順に従う。

  1. 実施医療機関の長は、治験施設支援機関を適切に選定し、業務内容を記載した文書により契約を締結する。なお、委託業務については事前に双方で合意した手順を遵守するよう求める。
  2. 実施医療機関において保存すべき治験に係る文書又は記録の保存・管理を治験施設支援機関に委託する場合は、別途手順を定める。
  3. 実施医療機関の長は、委託業務が適正かつ円滑に行われているか確認する。改善すべき点を認めた場合は、治験施設支援機関にその是正を指示し、また是正がなされていることを確認する。

 

第10章 データの信頼性

 

(適正な教育訓練の実施)

第28条 実施医療機関の長は、治験責任医師及び治験分担医師等の治験に関わる者に対して、医薬品GCP省令、医療機器GCP省令、再生医療等製品GCP省令、関連する通知等及びその他治験の実施に必要な知識等についての教育訓練が行われていることを確認する。また、治験施設支援機関へ業務を委託する場合においても、治験コーディネーター等の業務担当者に対し治験の実施に必要な教育訓練が行われ、委託した治験業務を遂行しうる要件を満たしていることを保証し、実施された治験業務及び作成されたデータの信頼性を保証する。

 

(システムへのアクセス権)

第29条 治験で使用する各種システムへのアクセス権は、治験責任医師、治験分担医師、治験コーディネーター等の業務担当者及びシステムによっては被験者(以下これらを総して、ユーザーという)のうち、治験依頼者から適切な教育訓練を受け、必要なシステムへのアクセス権が割り当てられた者に限るものとし、これ以外の者のアクセスは一切認められない。ユーザーは、各システムへのアクセスに必要なコードやパスワードを個人で保管及び管理し、他者と共有してはならない。また、電子署名は手書きの署名と同等の法的効力を持つことを理解し、適切に署名する。

 

(検査機器の精度管理等の記録)

第30条 実施医療機関の長は、実施医療機関の治験に係る検査において、関連機器の精度管理の記録を残すことにより、検査が適切に実施され、治験に係るデータが信頼できることを保証する。

 

附則

 

本手順書は、西暦2022年5月11日から施行する。

以上

 

治験に係る標準業務手順書 第 8 版(西暦 2022 年 5 月 11 日作成) 改訂の経緯