安曇野赤十字病院治験審査委員会
標準業務手順書
第9版 作成日:2022年5月11日
承認者: 病院長 中野 武
目次
治験の原則
治験は次に掲げる原則に則って実施されなければならない。
1.治験はヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則及び平成9年厚生省令第28号(医薬品GCP省令)、平成17年厚生労働省令第36号(医療機器GCP省令)、平成26年厚生労働省令第89号(再生医療等製品GCP省令)並びに関連する通知及び省令等を遵守して行うこと。
2.治験を開始する前に、個々の被験者及び社会にとって期待される利益と予想される危険及び不便とを比較考量すること。期待される利益によって危険を冒すことが正当化される場合に限り、治験を開始し継続すべきである。
3.被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上に対する配慮が最も重要であり、科学と社会のための利益よりも優先されるべきである。
4.治験薬、治験機器及び治験製品に関して、その治験の実施を支持するのに十分な非臨床試験及び臨床試験に関する情報が得られていること。
5.治験は科学的に妥当でなければならず、治験実施計画書にその内容が明確かつ詳細に記載されていること。
6.治験は、治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して実施すること。
7.被験者に対する医療及び被験者のためになされる医療上の決定に関する責任は、医師又は歯科医師が常に負うこと。
8.治験の実施に関与する者は、教育、訓練及び経験により、その業務を十分に遂行しうる要件を満たしていること。
9.全ての被験者から、治験に参加する前に、自由意思によるインフォ-ムド・コンセントを得ること。
10.治験に関する全ての情報は、正確な報告、解釈及び検証が可能なように記録し、取扱い、及び保存すること。本原則は、その媒体によら ず、本手順書で規定する全ての記録に適用される。
11.被験者の身元を明らかにする可能性のある記録は、被験者のプライバシ-と秘密の保全に配慮して保護すること。
12.治験薬の製造、取扱い、保管及び管理は、「治験薬の製造管理、品質 管理等に関する基準(治験薬GMP)について」(平成20 年7月9日付 け薬食発第0709002 号厚生労働省医薬食品局長通知)を遵守して行う こと。治験機器及び治験製品の製造、取扱い、保管及び管理は、適切 な製造管理及び品質管理のもとで行うこと。治験薬、治験機器及び治 験製品は治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して使用すること。
13.治験の被験者保護及び治験結果の信頼性確保に必要不可欠な局面の質を保証するための手順を示したシステムを運用すること。
14.治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合には、過失によるものであるか否かを問わず、被験者の損失は適切に補償すること。その際、因果関係の証明等について被験者に負担を課すことがないようにすること。
第1章 治験審査委員会
(目的と適用範囲)
第1条 本手順書は平成9年厚生省令第28号(医薬品GCP省令)、平成17年厚生労働省令第36号(医療機器GCP省令)、平成26年厚生労働省令第89号(再生医療等製品GCP省令)並びに関連する通知及び省令等に基づいて、治験審査委員会の運営に関する手続き及び記録の保存方法を定めるものである。
2 本手順書は、医薬品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売承認申請又は承認事項一部変更承認申請の際に提出すべき資料の収集のために行う治験に対して適用する。
3 医療機器の治験を行う場合には、本手順書において「治験薬」とあるのを「治験機器」、「治験使用薬」を「治験使用機器」、「被験薬」を「被験機器」、「有害事象」を「有害事象及び不具合」などと適切に読み替える。
4 再生医療等製品の治験を行う場合には、本手順書において「治験薬」とあるのを「治験製品」、「治験使用薬」を「治験使用製品」、「被験薬」を「被験製品」、「有害事象」を「有害事象及び不具合」などと適切に読み替える。
5 医薬品、医療機器及び再生医療等製品の再審査申請、再評価申請又は副作用調査の際提出すべき資料の収集のための製造販売後臨床試験を行う場合には、本手順書において、「治験」とあるのを「製造販売後臨床試験」と読み替える。
6 外部の実施医療機関の長から治験に関する調査審議を受け入れる場合、本手順書において「実施医療機関」とは当治験審査委員会が調査審議を受け入れた外部の実施医療機関を指し、「実施医療機関の長」とは外部の実施医療機関の長を指す。
7 本手順書にある「書式」、「参考書式」は、「新たな『治験の依頼等に係る統一書式』」の一部改正について(医政研発0710第4号、薬生薬審発0710第2号、薬生機審発0710第2号/平成30年7月10日)及び以降の改正に関する通知に定められるものを用いる。ただし、治験依頼者又は実施医療機関より書式の指定があった場合は、協議の上それを用いてもよい。なお、治験依頼者及び実施医療機関との合意が得られている場合は、統一書式への押印を省略することができる。統一書式への押印を省略する際の手順については、第2章 治験審査委員会事務局にて定める。
(治験審査委員会の責務)
第2条 治験審査委員会は、「治験の原則」に従って、全ての被験者の人権、安全及び福祉を保護しなければならない。
2 治験審査委員会は、社会的に弱い立場にある者を被験者とする可能性のある治験には特に注意を払わなければならない。
3 治験審査委員会は、倫理的、科学的及び医学的・薬学的妥当性の観点から治験の実施及び継続等について審査を行わなければならない。
(治験審査委員会の設置及び構成)
第3条 当実施医療機関の長 (以下、「治験審査委員会の設置者」という)は、治験を行うことの適否、その他治験に関する調査審議を行わせるため、当実施医療機関に治験審査委員会を設置する。
2 治験審査委員会は、治験審査委員会の設置者が指名する以下の要件を満たす5名以上の委員をもって構成する。なお、治験審査委員会の設置者は委員にはなれない。
1)医学、歯学、薬学その他の医療又は臨床試験に関する専門的知識を有する委員
2)自然科学以外の領域に属している委員(医学、歯学、薬学その他の医療又は臨床試験に関する専門的知識を有するもの以外の委員)が少なくとも1名
3)2)に該当するものを除き、実施医療機関及び治験の実施に係わるその他の施設とは関係を有しない委員(実施医療機関と利害関係を有しない委員)が少なくとも1名
4)2)に該当するものを除き、治験審査委員会の設置者と利害関係を有しない委員が少なくとも1名
注)多数の委員で委員会を構成する場合には委員構成を適当な割合に保つ。
1)押印を省略する書式については、本手順書に則って治験審査委員会事務局が作成し発行する。この場合、実施医療機関の長及び委員長の指示があったものとみなすが、治験審査委員会事務局で作成した文書に関する最終責任は、医薬品GCP省令、医療機器GCP省令及び再生医療等製品GCP省令で規定された作成責任者が負う。
2)書式の変更や再発行等が発生した場合は、作成責任者に報告あるいは確認し、その経緯を残す。
3)直送を含む書式の授受については、実施医療機関の長及び治験依頼者と協議の上で決定する。
4)書式の保存については、実施医療機関の長及び治験依頼者から特に要望がない限り、原則として紙で保存する。
注)多数の委員で委員会を構成する場合には委員構成を適当な割合に保つ。
3 治験審査委員会は委員長によって運営される。
4 委員長が不在又は審査の対象となる治験の関係者である場合は、副委員長がその職務を代行する。なお、委員長の職務代行の優先順位は委員名簿に定める。
5 委員の任期は2年とするが、再任は妨げない。委員長及び副委員長は委員の中から委員全員の互選により選出する。なお、外部委員を委員長に選出することも可とする。
6 治験審査委員会は、治験依頼者へ本手順書及び委員名簿を提供する。
(外部の実施医療機関の調査審議の受入れ)
第4条 治験審査委員会は、外部の実施医療機関における治験の実施の適否及びその他の治験に関する調査審議を受入れることができる。受入れる場合、治験審査委員会の設置者は、外部の実施医療機関の長と文書により契約を締結する。
2 治験審査委員会は、前項の規定に基づき外部の実施医療機関の調査審議を受入れた場合、外部の実施医療機関の長へ本手順書及び委員名簿を提供する。
(治験審査委員会の業務)
第5条 治験審査委員会は、その責務の遂行のために、次の最新の資料を実施医療機関の長から入手しなければならない。
1)治験実施計画書(治験責任医師と治験依頼者が合意したもの)
2)症例報告書の見本(治験実施計画書において、症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れる場合は、当該治験実施計画書をもって症例報告書の見本に関する事項を含むものと解する。)
3)同意文書及びその他の説明文書(治験責任医師が治験依頼者の協力を得て作成したもの)
4)被験者の募集手順(広告等)に関する資料(募集する場合)
5)治験薬概要書及び治験使用薬(被験薬を除く。)に係る科学的知見を記載した文書
6)被験者の安全等に係わる報告(あらかじめ治験依頼者、治験審査委員会及び実施医療機関の長の合意が得られている場合には、治験依頼者から入手することにより、実施医療機関の長から入手したものとみなす。)
7)被験者への支払に関する資料(支払がある場合)
8)被験者の健康被害に対する補償に関する資料
9)治験責任医師の履歴書及び治験分担医師となるべき者の氏名を記載した文書
10)治験の現況の概要に関する資料(継続審査等の場合)
11)その他治験審査委員会が必要と認める資料(外部の実施医療機関の治験実施体制を確認する資料等)
2 治験審査委員会は、次の事項について調査審議し、記録を作成する。
1)治験を実施することの倫理的、科学的及び医学的・薬学的見地からの妥当性に関する事項
・実施医療機関が十分な臨床観察及び試験検査を行うことができ、かつ、緊急時に必要な措置を採ることができる等、当該治験を適切に実施できること。
・治験責任医師等が当該治験を実施する上で適格であるか否かを最新の履歴書等により検討すること。
・治験の目的、計画及び実施が妥当なものであること。
・被験者の同意を得るに際しての同意文書及びその他の説明文書の内容が適切であること。
(同意文書及びその他の説明文書の記載内容が、被験者に理解しやすく、かつ十分な説明がなされているか、定められた説明事項が適切な表現で記載されているか否かについて審議する)
・被験者の同意を得る方法が適切であること。
・被験者への健康被害に対する補償の内容が適切であること。
(実施医療機関、治験責任医師又は治験依頼者の過失によるものであるか否かを問わず被験者の損失が補償されるか否かを審議する)
・被験者に対する支払がある場合には、その内容・方法が適切であること。
・被験者の募集手順(広告等)がある場合には、募集の方法が適切であること。
2)治験実施中又は終了時に行う調査・審議事項
・被験者の同意が適切に得られていること。
・治験実施計画書等審査対象資料の変更の妥当性を調査、審議すること。
・治験実施中に実施医療機関で発生した重篤な有害事象等について検討し、当該治験の継続の適否を審議すること。
・被験者の安全又は当該治験の実施に悪影響を及ぼす可能性のある新たな情報について検討し、当該治験の継続の適否を審議すること。
・治験の期間が1年を超える場合には、治験の実施状況について少なくとも1年に1回以上調査審議すること。
・治験の終了、治験の中止又は中断及び開発の中止を確認すること。
3)その他治験審査委員会が求める事項
3 治験審査委員会は、治験責任医師に対して治験審査委員会が治験の実施を承認し、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定が文書で通知される前に被験者を治験に参加させないように求める。また、被験者に対する緊急の危険を回避するためなど医療上やむを得ない場合、又は変更が事務的事項に関するものである場合を除き、治験審査委員会から承認の文書を得る前に治験実施計画書からの逸脱又は変更を開始しないよう求める。
(治験審査委員会の運営)
第6条 治験審査委員会は、原則として月1回開催する。ただし、実施医療機関の長から緊急に意見を求められた場合には随時委員会を開催し、事態の緊急性に応じて速やかに意見を文書で通知することができる。
2 治験審査委員会は、実施中の各治験について、被験者に対する危険の程度に応じて、少なくとも1年に1回の頻度で治験が適切に実施されているか否かを継続的に審査する。なお、必要に応じて治験の実施状況について調査し、必要な場合には、実施医療機関の長に意見を文書で通知する。
3 治験審査委員会の開催にあたっては、あらかじめ治験審査委員会事務局から原則として1週間前に文書で委員長及び各委員に通知し、十分な検討がなされるよう、審査資料を配布する。
4 治験審査委員会は、以下の要件を満たす会議においてのみ、その意思を決定できる。
1)委員名簿の過半数ただし最低でも5名以上の委員が出席し、審議・採決に参加していること
2)第3条第2項1)の委員が少なくとも1名参加していること
3)第3条第2項2)の委員が少なくとも1名参加していること
4)第3条第2項3)の委員が少なくとも1名参加していること
5)第3条第2項4)の委員が少なくとも1名参加していること
5 採決に当たっては、審議に参加した委員のみが採決への参加を許される。
6 当該治験の治験依頼者と関係のある委員(治験依頼者の役員又は職員、その他の治験依頼者と密接な関係を有するもの)、治験責任医師及び治験責任医師と関係のある委員(治験分担医師又は治験協力者)は、その関与する治験について情報を提供することは許されるが、当該治験に関する事項の審議及び採決への参加はできない。
7 委員長が特に必要と認める場合には、委員以外の特別の分野の専門家を委員会に出席させる若しくは文書により意見を聞くことができる。
8 採決は出席した委員全員の合意を原則とする。
9 判定は次の各号のいずれかによる。
1)承認する。
2)修正の上で承認する。
3)却下する。
4)既に承認した事項を取り消す(治験の中止又は中断を含む)。
10 治験審査委員会は、会議の記録(審議及び採決に参加した委員名及び審議記録)及びその概要を作成し保存する。
11 治験審査委員会は、審議終了後速やかに実施医療機関の長に、治験審査結果通知書(書式5)により報告する。なお、あらかじめ治験依頼者、治験審査委員会及び実施医療機関の長の合意が得られている場合には第5条第2項2)「被験者の安全又は当該治験の実施に悪影響を及ぼす可能性のある新たな情報」に関する意見に限り、実施医療機関の長に加えて治験責任医師及び治験依頼者にも同時に治験審査結果通知書(書式5)により報告できる。
なお、治験審査結果通知書(書式5)には、以下の事項を記載する。
・治験に関する委員会の決定
・治験審査委員会の名称と所在地
・治験審査委員会がGCPに従って組織され、活動している旨を治験審査委員会が自ら確認し保証する旨の陳述
また、判定が本条第9項に定める2)3)4)の場合には、以下の事項も記載する。
・決定の理由
・修正条件がある場合は、その条件
12 治験審査委員会は、被験者に対して直接の臨床的利益が期待できない非治療的な内容の治験であって、被験者の同意を得ることが困難な者を対象とすることが予測される治験について承認する場合には、かかる被験者の参加を承認する旨を治験審査結果通知書(書式5)に記載する。
13 治験審査委員会は、緊急状況下における救命的な内容の治験において、被験者による事前の文書による同意を得ることが不可能で、かつ、被験者の代諾者から文書による同意を得ることができない場合にも治験が行われることが予測される治験について承認する場合には、かかる場合に、治験責任医師等が速やかに被験者又は代諾者となるべき者に対して説明した経緯と結果を治験審査委員会に報告するよう治験審査結果通知書(書式5)に記載する。
14 治験審査委員会は、審査結果に対して異議がある者(以下、「異議申立て者」という)からの、実施医療機関の長を通じた文書による異議申立てを受け付ける。治験審査委員会は、異議申立てを受けた場合は、内容を検討して、委員長が回答書を作成し、実施医療機関の長を通じて異議申立て者に回答する。
15 治験審査委員会は、本条第9項の規定により修正の上で承認し、その点について実施医療機関の長が治験実施計画書等修正報告書(書式6)及び該当する資料を提出してきた場合には修正事項の確認を行う。
16 治験審査委員会は、承認済の治験について、軽微な変更の場合には、迅速審査を行うことができる。迅速審査の対象か否かの判断は委員長が行う。ここでいう軽微な変更とは、治験の実施に影響を与えない範囲で、被験者に対する精神的及び身体的侵襲の可能性がなく、被験者への危険を増大させない変更をいい、何らかの身体的侵襲を伴う検査を伴う変更は除かれる。迅速審査の対象となるものは以下の事項とする。
1)1年を超えない治験期間の延長
2)治験分担医師の追加・削除
3)実施体制の変更
4)その他、委員長が対象と判断した事項
迅速審査は、委員長が行い、本条第9項に従って判定し、本条第11項に従って実施医療機関の長に報告する。なお、判定に際して委員長は、必要に応じてその他の委員若しくは、委員以外の特別の分野の専門家の意見を聞くことができる。委員長は、次回の治験審査委員会で迅速審査の内容と判定を報告する。なお、委員長が当該迅速審査の対象となる治験の関係者である場合は、副委員長又は他の委員を指名して代行させる。
17 治験審査委員会は、承認済の治験について、軽微な変更等のうち、調査審議の必要はないが変更事項等を委員へ周知すべきと判断する事項について、報告を行うことができる。報告の対象か否かの判断は委員長が行う。報告の対象となるものは以下の事項とする。
1)迅速審査の結果報告
2)治験安全性最新報告概要及び国内重篤副作用等症例の発現状況一覧において副作用等症例の発現がなかった場合又は安全性情報の取下げ報告の場合
3)その他、委員長が対象と判断した事項
(治験審査委員会の手順書等の公表)
第7条 治験審査委員会の設置者は、本手順書、委員名簿及び会議の記録の概要(以下「治験審査委員会の手順書等」という)を公表する。
2 治験審査委員会の設置者は、治験審査委員会の手順書等をホームページで公表する。
3 治験審査委員会の設置者は、治験審査委員会の手順書等の変更があった場合には、直ちに、既存の公表内容を更新するとともに、その履歴が確認できるよう記録を残す。また、会議の記録の概要については、治験審査委員会の開催後2か月以内を目処に公表する。その際、治験依頼者から治験依頼者の知的財産権を侵害する内容が含まれていないか事前に確認したい旨の求めがあった場合には、求めに応じるとともに、必要があればマスキングなどの措置を講じた上で公表する。
(直接閲覧)
第8条 治験審査委員会の設置者は、治験依頼者によるモニタリング及び監査並びに実施医療機関及び国内の規制当局による調査を受け入れる。これらの場合には、モニター、監査担当者、実施医療機関又は国内外の規制当局の求めに応じ、全ての治験関連記録を直接閲覧に供する。
第2章 治験審査委員会事務局
(治験審査委員会事務局の業務)
第9条 治験審査委員会の設置者は、治験審査委員会の実施に関する事務及び支援を行う者を指定し、治験審査委員会事務局を設ける。なお、治験事務局は治験審査委員会事務局を兼ねることができる。
2 治験審査委員会事務局は、治験審査委員会の設置者又は委員長の指示により、次の業務を行う。
1)治験審査委員会の開催準備
2)治験審査委員会の会議の記録及びその概要の作成
3)治験審査結果通知書の作成及び実施医療機関の長への提出
4)治験依頼者又は実施医療機関の長へ本手順書及び委員名簿の提供
5)治験依頼者、規制当局又は実施医療機関からの調査及び監査への対応
6)記録の保存
治験審査委員会で調査審議又は報告の対象としたあらゆる資料、会議の記録及びその概要、治験審査委員会が作成するその他の資料等を保存する。
7)本手順書の見直し
8)その他治験審査委員会に関する業務の円滑化を図るために必要な事務及び支援
3 統一書式の作成、授受及び保存については、次の通りとする。
1)押印を省略する書式については、本手順書に則って治験審査委員会事務局が作成し発行する。この場合、実施医療機関の長及び委員長の指示があったものとみなすが、治験審査委員会事務局で作成した文書に関する最終責任は、医薬品GCP省令、医療機器GCP省令及び再生医療等製品GCP省令で規定された作成責任者が負う。
2)書式の変更や再発行等が発生した場合は、作成責任者に報告あるいは確認し、その経緯を残す。
3)直送を含む書式の授受については、実施医療機関の長及び治験依頼者と協議の上で決定する。
4)書式の保存については、実施医療機関の長及び治験依頼者から特に要望がない限り、原則として紙で保存する。
(治験審査委員会標準業務手順書の作成・改訂の経緯)
第10条 治験審査委員会事務局は、少なくとも年に1回本手順書の見直しを行い、法令・法規等の改正や当実施医療機関の組織変更等、必要に応じて本手順書を改訂し、治験審査委員会の設置者の承認を得る。なお、改訂箇所及び改訂理由を記録し、改訂版には表紙に作成日を付す。
第3章 記録の保存
(記録の保存責任者)
第11条 治験審査委員会における記録の保存責任者は治験審査委員会事務局長とする。
2 治験審査委員会において保存する文書は以下のものである。
1)当標準業務手順書
2)委員名簿(各委員の資格、職業及び所属を含む)
3)提出された文書
4)会議の記録及びその概要
5)書簡等の記録
6)その他必要と認めたもの
(記録の保存期間)
第12条 治験審査委員会における保存すべき治験に係る文書又は記録は、1)又は2)の日のうち後の日までの間保存する。なお、製造販売後臨床試験の場合は3)の日まで保存する。ただし、治験依頼者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には、保存期間及び保存方法について治験依頼者と協議する。
1)当該被験薬に係る医薬品の製造販売承認日(開発の中止若しくは治験の成績が承認申請書に添付されない旨の通知を受けた場合には、通知を受けた日から3年が経過した日)(再生医療等製品治験の場合は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第23条の26第1項の規定により条件及び期限を付したものを除く)
2)治験の中止又は終了後3年が経過した日
3)製造販売後臨床試験の場合は、当該被験薬の再審査又は再評価が終了する日
2 治験審査委員会は、実施医療機関の長を経由して治験依頼者より前項にいう開発中止の連絡を受ける。
第4章 業務の委託
(治験施設支援機関)
第13条 治験審査委員会の設置者は、当実施医療機関における治験審査委員会事務局業務、治験審査委員会において保存すべき治験に係る文書又は記録の保管及びその他治験に関する業務の円滑化を図るために必要な業務を治験施設支援機関に委託し、支援させることができる。その場合は以下の手順に従う。
1) 治験審査委員会の設置者は、委託業務内容に適した治験施設支援機関を選定し、業務内容を記載した文書により契約を締結する。なお、委託業務については事前に双方で合意した手順を遵守するよう求める。
2) 治験審査委員会において保存すべき治験に係る文書又は記録の保存・管理を治験施設支援機関に委託する場合は、別途手順を定める。
3) 治験審査委員会の設置者は、委託業務が適正かつ円滑に行われているか確認する。改善すべき点を認めた場合は、治験施設支援機関にその是正を指示し、また是正がなされていることを確認する。
附則
本手順書は、2022年5月11日から施行する。
以上