麻酔科研修カリキュラム 安曇野赤十字病院麻酔科
Ⅰ. 研修スケジュール概要
1) 当院麻酔科医は、当院の常勤医であるとともに、信州大学医学部麻酔蘇生学教室の教室員でもあるので、研修目標等は、この教室が定める麻酔科カリキュラムにおける研修目標に準ずるものとする。
2) カリキュラムは救急・麻酔の3ヶ月であるが、2ヶ月を救急業務研修に、1ヶ月を麻酔科研修に当て専従とする。
1.研修スケジュール
1ヶ月目 | 2ヶ月目 | 3ヶ月目 |
手術麻酔 ・吸入麻酔 (モニター管理、血管確保、気道確保 等) |
手術麻酔 ・吸入麻酔 ・静脈内麻酔 |
手術麻酔 ・吸入麻酔 ・静脈内麻酔 ・腰椎麻酔 |
2.週間スケジュール
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
午前 | 8:30 術前カンファレンス 9:30 術後回診 術前回診 |
8:30 術前カンファレンス 9:30 術後回診 術前回診 |
8:30 術前カンファレンス 9:30 術後回診 術前回診 |
8:30 術前カンファレンス 9:30 術後回診 術前回診 |
8:30 術前カンファレンス 9:30 術後回診 術前回診 |
午後 | 手術麻酔 | 手術麻酔 | 手術麻酔 | 手術麻酔 | 手術麻酔 |
麻酔科研修のポイント
○ 研修の場では、常に指導医と共に。
Ⅱ. 研修目標
1.一般目標
1) 臨床におけるいかなる緊急時にも即応できる医師を育成するために、①各種麻酔法 ②各種生体監視装置の使用法 ③各種臓器機能不全症の管理法に関する知識と技術を習得する。
2) 手術患者の術前診察、麻酔計画、手術麻酔、術後診察を通じて、プライマリケアに必須の診察態度・全身状態の評価、各種臓器不全状態の評価と対策ならびにその有効性について検証し、診断・治療の基本を学習する。
2.行動目標
A.経験すべき診察法・検査・手技
(1)基本的麻酔科診療能力
1)診療記録の作成
① 術前回診と全身状態の評価
② 麻酔の説明と同意の取得
③ 麻酔記録
④ 術後回診と合併症の把握
⑤ 副作用、合併症の経過
2)麻酔科診察法
(1)視診
①皮膚 色、浮腫、皮疹
②爪床 色、血流
③結膜 色、湿潤度
④目 瞳孔の大きさ、反応性
⑤胸郭の動き 対称性、呼吸パターン、呼吸数
⑥術野 血液の色、出血量
(2)触診
①皮膚 温度、浮腫
②動脈拍動 大きさ、拍数、リズム、アレンテスト
(3)聴診
①呼・吸気音 強弱、雑音、喘鳴、左右差
②心音
③血圧 非観血的血圧測定法
④経鼻胃管 挿入、胃内空気の吸引または注入
(2)基本的麻酔科臨床検査
① 血液検査:貧血、凝固系の異常、肝・腎機能障害、糖尿病
② 胸部単純X線写真:気胸、血胸、無気肺、片肺挿管
③ 心電図:心房細動、心室性期外収縮、房室ブロック
B.経験すべき生体監視装置(経験優先順位順)
① 心電図
② 非観血的血圧測定
③ パルスオキシメーター(経皮的動脈血酸素飽和度)
④ カプノグラム(終末呼気二酸化炭素分圧)
⑤ 体温
⑥ 尿量
⑦ 麻酔器(流量計、気道内圧計)
⑧ 観血的血圧測定
⑨ 血液ガス分析
C.経験すべき基本的手技(経験優先順位順)
① 気道確保
② 用手的人工呼吸
③ 気管挿管
④ 静脈路の確保
⑤ 導尿
⑥ 動脈穿刺
D.麻酔に必須の薬物に関する知識
① 作用を正しく理解する
② 適正な使用方法を理解する
③ 副作用・相互作用について知識を深めるとともに、発現したときに対策を講ずることができる
④ 輸液・輸血について、正しい知識を身につける
Ⅲ.指導体制
7年以上の麻酔科臨床経験を有する日本麻酔科学会認定医あるいは各専門学会の専門医