産科婦人科カリキュラム
(信州大学医学部附属病院研修プログラム)
<研修の特色>
産婦人科は、1人の人間の誕生からターミナルケアまでの全人的な医療を提供できる唯一の科であり、かつ外科的な手技だけでなく内科的な発想や手法も求められるため、産婦人科領域に限らず、幅広く女性疾患への対応を学び経験することが可能となる。
信州大学は長野県の基幹病院であり、周産期学・婦人科腫瘍学・生殖補助医学全ての分野に症例が豊富である事に加え、世界基準の標準治療を施行することが特徴です。従ってどの分野においてもハイレベルな診療を一緒に体験し、またカンファレンスにおけるディスカッションに参画することによってより深い知識の習得をすることができる。
また当教室では教育を極めて重要な任務として位置付け、臨床医として必要な知識や技能の修得のみならず、科学的かつ患者の目線に立った思考を養成できるよう指導している。真のプロフェッショナルへと成長するために以下の目標が達成できるように努めている。1)人間性に富み、常に学問的好奇心を持ち続ける。2)基本的な原理にたちかえり応用できる。3)行動のすべてを理由づけられる。4)自分自身の知識および教科書の知識に限界があることを意識し創造性を導き出す。5)絶えざる学徒であること。
当教室の教育・研修システムは深く信頼されており、殆どの研修医が充実した研修と感じている。
<研修目標>
1. 一般目標
産婦人科疾患と妊娠に関連した病態へ適切に対応するために、女性の生理学的・解剖学的・精神的特徴、特有の病態、基本的な産婦人科診療手技を理解し、活用する技能を習得する。
2. 行動目標
【1.5ヶ月プログラム】
◎産婦人科的診療に必要な基本的態度・手技(膣鏡診、双合診、内診、妊婦のLeopold触診法)を身につけ、基本的検査(経膣・経腹超音波断層法、CT、MRI)を活用して骨盤内の評価ができる。
◎正常妊娠・分娩・産褥ならびに新生児の生理を理解し、正常分娩の管理を行うことができる。
◎上級医師の指導下で、会陰縫合・開腹・閉腹などの外科手技、腹式帝王切開術の助手を行うことができる。
◎女性の下腹部痛、急性腹症の鑑別診断を行ない、初期対応に参加することができる。
◎婦人科病理診断に必要な基本的知識を身につけ、婦人科良性腫瘍の診断ならびに治療計画の立案ができる。
【3ヶ月プログラム】
1ヶ月プログラムの目標に加えて,次の項目を目標とする。
◎初期の異常妊娠(切迫流産、子宮外妊娠)や切迫早産の病態を理解し、診断と管理を行うことができる。
◎産科出血に対する応急処置法を理解し初期治療に参加することができる。
◎妊産褥婦ならびに新生児に対する投薬の問題、治療上の制限を理解した上で薬剤投与の可否、投与量等を適切に判断できる。
◎上級医師の指導下で、腹式単純子宮全摘術を行うことができる。
◎婦人科悪性腫瘍の早期診断法と集学的治療を理解し、治療計画の立案ができる。
<研修スケジュール>
1.週間スケジュール表
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
午前 | 病棟業務 手術助手 |
(朝)抄読会 新患予診 |
病理カンファレンス 病棟業務 手術助手 |
病棟業務 手術助手 |
病理カンファレンス 子宮鏡検査 |
午後 | 病棟業務 新生児カンファレンス |
病棟総回診 術前カンファレンス、 放射線科カンファレンス |
病棟業務 | 病棟業務 手術助手 |
病棟業務 |
<研修方法>
1) 指導体制
日常の指導には,産科・婦人科の各病棟医長・副医長と3年目以上の上級医師があたり,指導医が指導評価(EPOC)を行う。
研修医は,上級医師とペアになり,入院患者(産科と婦人科の両方)を受け持つ。3ヶ月プログラムでは,最後の1ヶ月間は主体的な受け持ち医となり、入院患者を受け持つが,その場合でも絶えず上級医或いは指導医と相談しながら診療にあたるものとする。
2) 受け持ち患者
病棟においては,チーム医療を行う。
受け持ち患者数 10名前後
3) 当直研修
週に1回程度、上級医師とともに緊急入院患者や時間外分娩の対応を行う。