治験審査委員会の標準業務手順書 第3版

治験審査委員会の標準業務手順書

 

版数:第3版 作成日 平成22年2月15日

病院長 澤海 明人

 

目次

1. 目的 2
2. 治験審査委員会の設置 2
3. 治験審査委員会の構成 2
4. 治験審査委員会委員の任命 2
5. 他医療機関の治験の調査審議業務の受託 3
6. 治験審査委員会の運営 3
6.1 会議の開催時期 3
6.2 会議の成立要件 3
6.3 採決方法 3
7. 治験に関する調査審議の流れ 4
7.1 治験審査依頼書および審査資料の入手 4
7.2 治験審査委員への開催案内と資料配付 4
7.3 会議の成立要件の確認 4
7.4 調査審議の実施 4
7.5 審議結果 6
7.6 治験審査結果通知書の作成 6
7.7 議事録とその概要の作成 6
7.8 異議申立 6
7.9 治験の中止・中断 7
8. 治験の終了 7
9. 迅速審査 7
9.1 迅速審査の開催 7
9.2 迅速審査の委員 7
9.3 迅速審査の流れ 7
10. 治験審査委員会事務局の業務 8
10.1 治験審査委員会事務局の役割 8
10.2 治験審査委員会事務局の業務 8
11. 記録の保存 8
12. 記録の公表 8

書式
「治験の依頼等に係る統一書式について」医政研発第1221002号(平成19年12月21日)の統一書式を用いる。統一書式の改訂があった場合は、随時最新版を使用するものとする。

1. 目的
(1) 本標準業務手順書は、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(厚生省令第28号、平成9年3月27日)、および医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令(厚生労働省令第36号、平成17年3月23日)ならびに関連通知(以下、これらを総称して「GCP省令等」という。)に則って治験を実施する際の治験審査委員会が行うべき業務の手順を定める。なお、医師主導治験には適用しない。
(2) 本手順書は、医薬品の製造販売承認申請(一部変更承認申請を含む。)の際に提出すべき資料の収集のために行う治験に対して適用する。
(3) 製造販売後臨床試験を行う場合には、本手順書において「治験」とあるのを「製造販売後臨床試験」と読み替えて適用するものとする。
(4) 医療機器、体外診断用医薬品の治験を行う場合も、本手順書を適用する。

2. 治験審査委員会の設置
(1) 病院長は、治験審査委員会を設置し、委員を選任する。また、治験審査委員会に係る事務を行うため、治験審査委員会事務局を設置し事務局長を選任する。
(2) 病院長は、GCP省令第28条課長通知第2項に従い、本手順書を作成し、必要に応じて改訂する。その手順に関しては、標準業務手順書の改訂業務手順書に準拠する。
(3) 病院長は、(1)で選任する委員の任命書および委員名簿を作成する。

3. 治験審査委員会の構成
(1) 治験審査委員会は、委員を9名以上とする。
(2) 治験審査委員会は男女両性で構成する。
(3) 委員のうち少なくとも2名は医学、歯学、薬学、その他医療又は臨床試験に関する専門的知識を有しない委員であること。(以下、「①の委員」という。)
(4) 委員のうち少なくとも2名は当院と利害関係を有しない委員であること。(以下、「②の委員」という。)
(5) 委員のうち少なくとも2名は当該治験の実施医療機関および当該治験の実施に係るその他の施設を含むと利害関係を有しない委員であること。(以下、「③の委員」という。)
(6) ①の委員と②の委員、①の委員と③の委員は同一人物が兼ねることはできない。
(7) 委員長が出席できない場合は、副委員長もしくは委員長が任命する者がその職務を代行する。

4. 治験審査委員会委員の任命
(1) 病院長は、委員を任命するが、委員になることは出来ない。
(2) 病院長は、委員のうちから委員長と副委員長を任命する。
(3) 委員の任期は2年とし、再任を妨げない。
(4) 委員等に欠員が生じた場合、その後任者の任期は前任者の残任期間とする。

5. 他医療機関の治験の調査審議業務の受託
病院長は、他医療機関の長より治験審査委託書(様式A-1)により治験審査業務を委託された場合は、当該医療機関がGCPの要件を満たしているかおよび当院の治験審査委員会が当該治験の審査業務を適切に実施できるか否か等を検討し、受託の可否を判断しなければならない。その受託が妥当であると判断した場合は、治験審査受託書(様式A-2)を発行し、当該医療機関と当該治験の審査委受託契約書を締結する。契約書には以下の項目を明記する。
① 当該契約を締結した年月日
② 当該実施医療機関および当該治験審査委員会の設置者の名称および所在地
③ 当該契約に係る業務の手順に関する事項
④ 当該治験審査委員会が意見を述べるべき期限
⑤ 被験者の秘密の保全に関する事項
⑥ その他必要な事項
なお、特定の専門的事項のみ審査する場合は、他医療機関の長と協議の上、審議事項を特定し、その旨を審査委受託契約書に明記する。

6. 治験審査委員会の運営
6.1 会議の開催時期
(1) 治験審査委員会は、原則として1ヵ月に1回開催する。
(2) 委員長が開催を要すると判断した場合、あるいは病院長が開催を要請した場合、または   委員の過半数が開催を要請した場合には、委員長は治験審査委員会を開催することができる。

6.2 会議の成立要件
(1) 治験審査委員の過半数かつ5名以上の出席により開催できる。また、少なくとも①の委員1名、②の委員1名、③の委員1名が出席していなければならない。
(2) 審議および採決は、議決権を有する過半数かつ5名以上の委員が行い、その中には医師、①の委員、②の委員、③の委員が含まれているものとする。
(3) 治験審査委員会の委員が治験責任医師、治験分担医師または治験協力者である場合には当該治験に関する審議および採決に参加することができない。

6.3 採決方法
治験審査委員会の決定は、原則として出席した委員全員の合意による。

7. 治験に関する調査審議の流れ
7.1 治験審査依頼書および審査資料の入手
治験審査委員会は、病院長あるいは他医療機関の長(以下、「病院長等」という。)から治験審査依頼書(書式4)およびGCP省令に記載された以下の審査対象資料を入手する。 
① 治験実施計画書
② 治験薬概要書
③ 症例報告書(見本)
④ 同意文書およびその他の説明文書
⑤ 治験責任医師の履歴書および治験分担医師の氏名リスト(必要に応じ履歴書)
⑥ 予定される治験費用に関する資料
⑦ 被験者の健康被害に対する補償に関する資料
⑧ 被験者の安全等に係わる報告(ある場合)
⑨ 被験者への支払いに関する資料(支払いがある場合)
⑩ 被験者の募集手順に関する資料(ある場合)
⑪ 治験の現況の概要に関する資料(継続審査の場合)
⑫ 施設の概要に関する資料(他医療機関の治験実施の可否を調査審議する場合)
⑬ その他治験審査委員会が必要と認める資料

7.2 治験審査委員への開催案内と資料配付
治験審査委員に開催案内と審査対象資料を原則として開催日の2週間前までに配付する。
新たな安全性情報に関する報告書と緊急な情報を入手したときは、この限りではない。
なお、委員長が治験審査依頼書(書式4)の内容から迅速審査が適当であると判断した場合は、手順7に従う。

7.3 会議の成立要件の確認
治験審査委員会は、治験審査委員会開催時に、成立要件を満たしていることを確認する。

7.4 調査審議の実施
7.4.1 初回審査
治験審査委員会は、提出された審査対象資料に基づき、以下の観点から当該治験を当該医療機関で実施することの適否を調査審議する。
(1) 治験審査委員会は、倫理的、科学的および医学的妥当性の観点から治験の実施について適切な期間内に審査を行う。
(2) 治験審査委員会は、当該医療機関が十分な臨床観察および試験検査を行うことができ、かつ、緊急時に必要な措置をとることができるなど、当該治験を適切に実施することができるか否かを検討する。
(3) 治験審査委員会は、治験責任医師および治験分担医師が当該治験を実施する上で適格であるか否かを検討する。
(4) 治験審査委員会は、被験者に対する支払いがある場合には、その支払い額および支払い方法を審査し、被験者に治験への参加を強制したり、不当な影響を及ぼさないことを確認する。また、支払い方法、支払い金額、支払い時期等の情報が、説明文書に記述されていることを確認し、参加期間等による案分の方法が明記されていることを確認する。
(5) 治験審査委員会は、治験依頼者から支払われることが予定されている治験費用について、その内容および支払い方法を審査し、これらが適正であるか否かを検討する。
(6) 治験審査委員会は、被験者およびその代諾者の事前の同意を得ることが不可能な緊急状況下における救命的治験が行われることが計画されているときは、治験実施計画書およびその他の文書において、倫理的問題に適切に配慮していることを確認する。なお、治験審査結果通知書(書式5)に、被験者および代諾者の同意なしに治験に加わった者の人権、安全および福祉を保護する方法を明記する。
(7) 治験審査委員会は、被験者の代諾者の同意に基づき、被験者に対して直接の臨床的利益が予測されない非治療的な治験が行われることが計画されているときは、治験実施計画書およびその他の文書において、倫理的問題に適切に配慮していることを確認する。なお、治験審査結果通知書(書式5)に、同意を得ることが困難なものを対象とすることを承認する旨を明記する。
7.4.2 治験中の審査
治験審査委員会は、治験中に提出された審査対象資料に基づき以下の観点から当該治験を継続して実施することの適否を適切な期間内に調査審議する。
(1) 治験審査委員会は、治験責任医師または治験分担医師が被験者の緊急の危険を回避するためのものである等、医療上やむを得ない事情のために治験実施計画書からの逸脱または変更を行った場合には、緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する報告書(書式8)により、その妥当性を検討する。
(2) 治験審査委員会は、実施中の治験について、安全性に関する新たな情報、重篤な有害事象の発生、治験の継続に影響を及ぼす情報、同意文書および説明文書の改訂、治験実施計画書の改訂、治験実施計画書以外の審査対象資料の改訂により治験の継続の適否について病院長等より意見を聴かれたときは、被験者に対する安全性確保の観点から事態の緊急性に応じて速やかに審査を行う。
7.4.3 継続審査
治験審査委員会は、少なくとも1年に1回以上、治験責任医師より提出された治験実施状況報告書(書式11)に基づき、当該治験を継続して行うことの適否について調査審議する。
なお、必要に応じて治験の実施状況について調査し、必要な場合には病院長等に意見を文書で通知する。

7.5 審議結果
審査の結果は、治験審査結果通知書(書式5)に下記の通り示す。
7.5.1 初回審査
① 承認
② 修正の上で承認
③ 却下
④ 保留
なお、②~④の場合は、その理由を記す。②の場合には、その条件についても明記し、修正内容の確認方法を取り決め、議事録に記す。また、採決に至らなかった場合は保留とし、次回以降の治験審査委員会で審議する。
7.5.2 治験中の審査
① 承認
② 修正の上で承認
③ 却下
④ 既承認事項の取り消し
⑤ 保留
なお、②~⑤の場合は、その理由を記す。②の場合には、その条件についても明記し、修正内容の確認方法を取り決め、議事録に記す。また、採決に至らなかった場合は保留とし、次回以降の治験審査委員会で審議する。

7.6 治験審査結果通知書の作成
治験審査委員会は、治験審査委員会終了後、治験審査結果通知書(書式5)を作成し、病院長等に送付する。

7.7 議事録とその概要の作成
治験審査委員会は、治験審査委員会終了後、病院長の指示に従い議事録とその概要を作成し保管する。なお、議事録の概要については原則として以下の項目を盛り込むこと。
① 開催日時
② 開催場所
③ 出席委員名
④ 議題(成分記号、治験課題名、治験依頼者、開発の相および対象疾患名を含む)
⑤ 議論の概要(質疑、応答を含む)
⑥ 審議結果

7.8 異議申立
治験審査委員会は、治験審査結果に対して異議申立の報告を受けた場合は、内容を検討して、委員長が回答書を作成し、病院長等を通じて異議申し立て者に回答する。

7.9 治験の中止・中断
治験審査委員会は、病院長等より治験終了(中止・中断)報告書(書式17)または開発の中止等に関する報告書(書式18)を入手し、治験の中止・中断を確認する。

8. 治験の終了
治験審査委員会は、病院長等より治験終了(中止・中断)報告書(書式17)を入手し、治験の終了を確認する。
また、治験審査委員会は、病院長等より開発の中止等に関する報告書(書式18)を入手し、開発の中止等を確認する。

9. 迅速審査
9.1 迅速審査の開催
(1) 治験審査委員会は、実施中の治験についての治験期間内の軽微な変更の場合には、迅速審査を行うことが出来る。
(2) 軽微な変更とは、変更により生ずる危険性が、被験者の日常における危険性または通常行われる理学的あるいは心理的検査における危険より高くない変更をいう。何らかの身    体的侵襲を伴う変更は除かれる。
(3) 迅速審査の対象となるものは、
① 治験依頼者の組織・体制変更
② 治験契約期間の延長
③ 契約例数の追加(治験の実施に支障をきたさない範囲内)
④ 治験分担医師追加・削除
等の事項である。
(4) 迅速審査の対象か否かの判断は委員長が行う。

9.2 迅速審査の委員
迅速審査の委員は、委員長および委員長が指名した2名の委員とする。

9.3 迅速審査の流れ
(1) 委員長は、提出された治験審査依頼書(書式4)を検討し、迅速審査が適当と判断した場合は、速やかに迅速審査を開催する。
(2) 治験審査委員会は、迅速審査終了後、議事録を作成し、治験審査結果通知書(書式5)により病院長等に通知する。それと共に直近の治験審査委員会で報告する。

10. 治験審査委員会事務局の業務
10.1 治験審査委員会事務局の役割
治験審査委員会事務局は、治験審査委員会事務局長および治験審査委員会事務局員によって構成し、薬事法、GCP省令等および当院の治験審査委員会業務手順書を遵守して治験審査業務を執り行う。

10.2 治験審査委員会事務局の業務
治験審査委員会事務局は、委員長の指示により、以下の業務を行うものとする。
(1)治験審査委員会の委員名簿の作成・管理
(2)治験審査委員会の開催準備
(3)治験審査結果通知書(書式5)の作成および病院長等への提出
(4)治験審査委員会議事録およびその概要の作成
(5)本手順書、治験審査委員会委員名簿及び治験審査委員会議事録の概要の公表

11. 記録の保存
病院長は、以下の資料をGCP省令で規定された期間保存しなければならない。但し、治験依頼者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には、保存期間および保存方法について治験審査依頼者との治験審査委受託契約書に明記する。
なお、保存している記録が保存期間を満了し、病院長の指示を受けて当該記録を廃棄する場合、被験者のプライバシーおよび治験依頼者の秘密を侵害しないよう適切に処分する。
① 治験審査委員会の標準業務手順書および委員名簿
② 他医療機関との契約書(他医療機関の治験の調査審議を実施した場合)
③ 審査対象資料
④ 治験審査依頼書および治験審査結果通知書
⑤ 治験審査委員会議事録およびその概要

12. 記録の公表
病院長は、以下の記録を院内の手順に従い公表する。
① 治験審査委員会の委員名簿
② 治験審査委員会の標準業務手順書
③ 治験審査委員会の議事録の概要