学会発表(外科)

学会発表(外科)

胃癌組織におけるピリミジン代謝酵素に関する検討―特にOPRTについて―
松下啓二、島田 良、高山寛人、横井謙太、有賀浩子、荻原廸彦

第46回 日本癌治療学会総会(2008年10月 名古屋)
【目的】
胃癌組織中のTS、DPD、OPRT蛋白量を臨床病理学的に検討しOPRTの重要性を評価する【対象と方法】対象:胃癌切除症例12例(主な臨床病理学的因子:組織型;高・中分化5例、低分化5例、他2例。臨床病期;Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ/Ⅳ:4/4/1/3)。切除胃の癌組織と周辺正常組織から約100mgを採取し、3酵素の蛋白発現量(ng/mg/protein)をELISA法で測定。臨床病理学的因子と各酵素、またOPRT/DPDとの関係を中心に評価した【結果】(1)癌組織と周辺正常組織での各酵素の発現の比較では、OPRT(7.98±5.03)が癌組織で有意に高発現していた(p=0.003)。(2)組織型は、低分化のOPRT(4.56±0.64)が高・中分化のOPRT(12.7±4.1)に比較し有意に低値であった(p=0.01)。OPRT/DPDは低分化0.03±0.02、高・中分化0.11±0.03で低分化型が有意に低値を示した(p=0.0006)【考察】低分化型胃癌の組織中のOPRT、さらに5-FUリン酸化と分解の比率であるOPRT/DPDも低値を示し、OPRTは生物学的悪性度、フッ化ピリミジン系抗癌剤の抵抗性との関連を示唆した

右胃大網動脈瘤破裂の1例
安曇野赤十字病院 外科
松下啓二、横井謙太、高山寛人、赤羽康彦、有賀浩子、島田 良

第70回日本臨床外科学会総会(2008年11月 東京)
【目的】
腹部内臓動脈瘤は比較的稀な疾患であり、一旦破裂し出血をきたせば急速にショック症状に陥り緊急に処置を要する病態を呈する。今回我々は待機的な手術で治療した右胃大網動脈瘤破裂症例を経験したので報告する。【症例】74歳男性。上腹部痛で前医受診し、腹膜炎疑いで紹介された。腹膜刺激症状があり汎発性腹膜炎の所見であった。エコー、CTにて多量の腹水が確認され、CTアンギオで右胃大網動脈瘤破裂が疑われたため、腹腔穿刺実施したところ、血性腹水であり上記疾患による腹腔内出血と診断した。バイタルサインは安定しおており厳重経過観察とした。精査目的で施行したEGDでは異常なく、CSでは横行結腸に腹腔内血腫が透見された。高血圧、脳梗塞の既往があり再出血の危険があるため入院後36日目に開腹手術を施行した。右胃大網動脈が最終前枝レベルで小結節部に肥厚しており、瘤破裂部と判断し右胃大網動脈瘤切除を施行した。病理組織学的診断では、右胃大網動脈の中膜に粘液状の変性を認め、小結節部はSAM(segmental arterial mediolysis)による出血に、脂肪組織が巻き込まれ、脂肪壊死をともなったものと診断された。【まとめ】比較的稀な右胃大網動脈瘤破裂症例を経験した。変性疾患のSAMの動脈瘤破裂は解離性が多く緊急手術がほとんど実施されているが、本症例は待機的に治療できたケースであった。