巻 頭 言

新保健医療計画における当院の位置づけ

安曇野赤十字病院院長 澤海明人

私自身は今回初めてこの巻頭言を書かせていただくことになりました。この医報の創刊は平成5年です。創刊号の編集委員の名前を見ると、私を含めて懐かしい名前が並んでいます。10名の編集委員の中で退職された人は6名、お一人は既に亡くなられています。時間の経過の早さを感じます。創刊号の中の平成4年分の整形外科の診療統計を見てみると、既に手術室における手術件数が554件もあったことに驚きます。今回の17巻での平成20年分では492件であり、現在の整形外科における診療の忙しさを考えると手術内容の変化はあるにせよよくやっていたものだと感心します。  平成4年当時は病院経営という言葉すら考える必要のない時代でした。普通に診療だけ考えていれば経営は自然に成り立っていました。当院が赤字経営に陥ったのは平成13年です。そして平成14年の史上初めての診療報酬引き下げ改定によって赤字幅は増大しました。既に昭和60年の第一次医療法改正時に言われていた医療連携への取り組みが遅れたこともその後の赤字増大の大きな原因となりました。ただ、こうした医療制度の変化はありましたが、当院に勤務して26年になる私が創刊号以来の医報を見て感じることは、当院に当時から現在まで受け継がれている「善意の医療」です。今回参入したDPC包括支払制度での提出データのベンチマークを見ても、当院は効率が良く、医療レベルも一定のレベルにあり、診療する疾患の種類も比較的多く、また再入院率も低いという結果が出ており、何よりもDPCに参入して以来ことさら診療内容を変えることなく収支バランスが取れていることがよい診療を行っている証拠であろうと思います。高齢者が増え医療費における自己負担が増えていくこれからの医療を考えると、信頼される医療を提供できない医療機関は患者さんに立ち去られることになると予想されます。信頼に支えられた医療を継続していくことはこれからの最重要課題でしょう。 また数年後に医報を眺め、当院の医療について感慨を持って振り返る時があるものと思っています。 多忙な業務の中でデータをまとめていただいた職員の皆様、編集に関わっていただいた委員の皆様に心より感謝致します。

平成21年11月