病院長就任のご挨拶

豊科赤十字病院の使命と移転新築について   病院長 荻原 廸彦

病院長就任にあたり、私は、病院発展のキーワードを「患者さんに選ばれる病院、頼られる病院」としました。それは、地域のニーズに応えられる診療機能を備えた病院であり、常に良質な医療を提供することに努力している病院であり、さらに癒しの雰囲気につつまれた快適な療養環境を追求する病院であると申せましょう。これを支える病院運営の基本姿勢は、①現状に甘んじない ②有能な人材の確保と育成 ③病院職員の意識(職業意識、帰属意識、経営参加意識)の涵養の三つに集約されると思います。「優秀で優しい医師」、「患者さんの訴えを重く受け止めることのできる医師」、「診療に情熱を持ち続ける医師」等々、医師には高い資質が求められています。このような資質を兼ね備えた人材を集めることも病院長に与えられた使命であると思います。
安曇野の地に赤十字病院が開設されて五三年が経過し、急性期医療を担う基幹病院として発展してまいりました。これもひとえに自治体の多大なご援助と地域の皆様のご支援の賜物と、心より感謝申し上げます。これまでのご恩に報いるためにも、地域の皆様に頼られる病院を常に視野においた病院運営に取り組む所存であります。
ここで原点に立ちもどって、医療法に規定する公的医療機関として、また日本赤十字社法で明記されている赤十字病院の使命について紹介いたします。


一.赤十字病院の歩みと使命 (赤十字社医療事業の公益性)

 赤十字病院の始まりは、西南戦争さ中、一八八六年(明治一九年)十一月七日に設立された「博愛社病院」(現日本赤十字社医療センター)です。
一九五一年(昭和二六年)には医療法に規定する「公的医療機関」に指定され、赤十字活動の原則(人道・公平・奉仕)を堅持し、僻地医療や救急医療、高度医療など、国の行う医療政策の一翼を担う責務も負うことになりました。一九五二年(昭和二七年)に「日本赤十字社法」が制定されたことに伴い、赤十字医療施設の事業は①災害時における医療救護、②各種医療援護、③保健指導、④一般医療とされ、赤十字病院の目的(医療事業の公益性)が明示されました。なお、財政的には、博愛社病院設立当時から、当該施設の収入をもって経費にあてる独立採算制を基本としています。


二. 公的病院としての豊科赤十字病院の役割

当院の役割として、以下の要件を満たす方向で取り組んでおります。
・急性期病院
 ○救急医療(松本医療圏における二次救急医療)の推進
 ○医療レベルの向上(各診療科の専門性発揮)
・地域医療支援(医療連携の強化)
 ○「一人の患者に二人の主治医」(「かかりつけ医」と「病院勤務医」との連携)
・臨床研修病院
 ○平成一六年度から始まる新医師臨床研修制度による管理型臨床研修病院(平成一五年八月三〇日厚生労働省指定)として、医師国家試験合格者(医師免許取得者)の二年間の卒後研修を引き受けることになりました。
日常頻繁に遭遇する疾病等に対応できる知識・技能・態度を涵養し、「良医」を育てることがこの制度の目的です。このためにも皆様のご理解とご協力何よりも大切でありますので、よろしくお願い申し上げます。
・災害救護
 ○医療救護体制の維持(当院は、常時出動できる医療救護班を二個班置いて、状況下の体制を布いています。)
 ○医療救護物品の備畜


三. 豊科赤十字病院の移転新築について

以上お示ししました諸事項を推進し、皆様に良質な医療を提供することが、公的医療機関である赤十字病院としての当院の使命であります。しかしながらこの使命を全うするためには、現在の建物は老朽化が進み、狭隘化はいかんともしがたく、現在地では駐車場の拡充も限界に達しています。そこで目下、豊科町を始め、地域自治体との連携を深め、ご指導を仰ぎながら、移転新築に向けた構想の策定作業を続けているところです。どうぞ地域の皆様には、当院の現状をお汲みとりいただき、ご理解のほど、お願い申し上げます。