◎特集 慢性腎臓病 chronic kidney disease : CKDについて 内科部長 床尾 万寿雄

 腎臓には毛細血管が塊のようになった糸球体と呼ばれる仕組みが200万個あり、この中で老廃物がろ過されたりミネラルのバランスがとられています。この糸球体でろ過される血液量をGFR(糸球体濾過量)といい、正常では毎分約100㍉㍑分です。色々な原因でたくさんある糸球体が徐々に壊れていって、腎臓で血液を十分にろ過出来なくなっていく状態を「慢性腎臓病」(CKD)といいます。正常な人では出ない蛋白や赤血球などが尿中に出ている状態も慢性腎臓病です。CKDは最近世界中で注目されていますが、透析を必要とする末期腎不全への進行だけではなく、心臓・脳血管障害や入院、死亡の危険因子としても重要であることが明らかとなっています。CKD患者数は膨大であり、日本の成人人口においては約1330万人(12.9%)と推定されています。国民の健康の観点からも糖尿病や高血圧などと並んで大変重要な疾患で、新たな国民病ともいわれています。

 CKDの発症には糖尿病などの生活習慣病による動脈硬化が強く関与しています。しかしながら、早期の段階で治療を開始すれば進行を遅らせ、さらに蛋白尿が減少することも可能となってきています。治療には生活習慣の改善(減塩、高脂肪食を控える、肥満の解消、運動、禁煙)を基礎として、血圧管理、血糖コントロール(糖尿病の人)、コレステロールや中性脂肪といったメタボリックシンドロームの予防・対策であり、CKD自体への治療はまだありません。

 ところで、2006年から毎年3月の第2木曜日が世界腎臓デーに決まり、世界中で種々な啓発イベント(「あなたの腎臓だいじょうぶ?」といった講演会等)が開催されるようになりました。興味ある人はマスコミ等に注目していて下さい。ちなみに毎年11月14日は世界糖尿病デーで、この時も全国でシンボルカラーのブルーを用いたキャンペーン(東京タワーや松本城がブルーにライトアップされます)が行われます。糖尿病の方はこちらも意識してみてください。