診療科紹介  循環器科部長 内川 慎一郎



こんにちは。平成19年10月より前任の宮下先生の後任として、循環器科部長を拝命いたしました内川でございます。早いものでもう約2 年が過ぎようとしています。自分の未熟さを痛感し、先輩諸氏よりご指導いただく日々の連続ではございますが、どうか宜しくお願い申し上げます。



循環器科とは?

さて、「循環器科」とは何を指すのでしょうか?「内科」「外科」「小児科」などは耳慣れた言葉であろうかと思います。近代医学が導入されてより、日本の診療体系は分野別に分けられてきました。すなわち、「主に内服を中心とした治療を展開する」内科、メスにより体の「外から」アプローチする外科などのような分類です(もっとも、よく考えてみると内科は体の外から診断・治療を行い、外科が体の内を切って治すのですから、反対なのかもしれません)。それに対し、近年は「消化器」「呼吸器」「循環器」といった、いわゆる臓器別の診療体系に再編成されてきています。たとえば、胃・腸・食道をはじめとした消化吸収に関連する疾患を専門的に診断・治療するグループを、内科的・外科的治療を問わず「消化器科」として再編成し、センター化するやり方です。「循環器疾患」は広い意味では血液循環に関連する疾患全てを指し、その中には心臓・血圧のみならず脳循環や腎臓疾患も含まれます(国立循環器病センターなどはこの範疇で診療をおこなっています)。さて当科では心臓病・血圧に関する異常・大血管疾患・末梢血管疾患及び肺循環に関する異常等がその対象疾患となります。つまり、殆ど全ての心臓病に加え、大動脈瘤や下肢の動脈閉塞・深部静脈血栓症・肺塞栓症などです。

本来的には、内科的診断・治療のみならず外科的手法も必要なのですが、残念ながら未だ心臓血管外科の導入には至っておりません。内科的に行いうるのは、①全ての循環器疾患に関する診断、②全ての循環器疾患に対する内服治療、③許容される範囲の、カテーテル等を用いた侵襲的治療、④救急領域の循環器疾患等になります。

当院の循環器科スタッフは平成21年7月現在、常勤医3名、非常勤医1名であり、全員が循環器疾患一般に関して、全国標準レベル以上の診断・治療技術水準を持っていると自負しております。加えて、それぞれが循環器科の中でもさらに専門領域に通暁しており、特に不整脈疾患と狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患に関しては、各々の学会の専門医・指導医資格を有し、心臓血管外科のない環境という以外はほぼ理想的な医療水準を保っていると自負しております。

当院の心臓カテーテル検査実績は年間約400例、虚血性心疾患のカテーテル治療実績は同じく年間約100例、心臓ペースメーカ治療が約30例、不整脈の電気的焼灼術(カテーテルアブレーション)約30例と、全体として長野県内の同様規模の病院の循環器科の実績と比較しても、遜色ないものと考えています。さらに、当科の特徴は「緊急・救急医療に強い」ことであろうと考えています。当院は救急部が充実しており、初診から専門的治療が開始されるまでが非常に短いのが特徴です。たとえば、心筋梗塞という疾患は、心臓へ血液を供給する「冠動脈」という重要な血管が閉塞し、心筋が壊死に陥る致死的疾患ですが、当院においては初診から冠動脈の閉塞を解除する、いわゆる「経皮的冠形成術」の実施に至るまで平均僅か30分程度、という短さであります。心筋梗塞は「いかにすばやく閉塞した血管を再潅流するか」が最も重要なだけに(発症してから6時間以内にこの治療を行わなければ余り意味がなく、また早ければ早いほど壊死心筋の量を減らすことが出来るとされています)、松本市内の心臓血管外科を有する大きな施設との比較のみならず、県内の多くの施設の中でも特筆すべき実績と考えます。このように、いったん心臓救急疾患を発症した場合、松本まで出るよりもよほどすばやく治療できるという利点があります。確かに、当科では対応できないような重症例も存在しますが、それでも当院で診断を確定し、応急的治療を行ってから外科施設へ転送するというメリットは確実に存在すると考えます。

地域の皆様におかれましては、胸部の異常を感じたならば、如何なる時間であっても是非当科を受診していただきたく存じます。我々は24時間体制で応需したいと思います。宜しくお願いいたします。