神経内科だより  花は半開きを看、酒は微酔に飲む 此の中に大いに佳趣あり

神経内科医師 副院長  中野 武

 春は卒業、進級、就職、転勤の季節です。また、お酒を飲む機会が多い時期でもあり、アルコールによる健康問題もクローズアップされます。

 健康問題に加え、飲酒運転も大変な問題です。お酒の分解代謝には時間がかかります。羽目を外して午前様になれば出勤時にはお酒が残るのは自然の理です。翌日運転中に呼気を調べられ、基準以上の値なら即アウトです。

 中国の明の時代の雑学書である菜根譚に「花は半開きを看、酒は微酔に飲む」とあります。花は蕾が半開きの五部咲きを見に行くべきであり、酒は酔い過ぎず程々に酔って楽しむのが良いようです。
満開に咲いた花は散り行くべき運命を見ることになり、お酒は酔いすぎて前後不覚となって醜態をさらすのでいけません。
酒にまつわる箴言も多く「命を削る鉋」「狂い水」「憂き世の友」などというものから、「百薬の長」「天の美禄」など賛否両論あります。
要は程度の問題でしょう。

 仲間や友人と良い時間、会話、雰囲気、お料理、そしてお酒を楽しあのが宴会の秘訣です。「差しつ差されつ」がお酒の基本です。複数の仲間で同量のお酒を同じぺースで飲み、交互に注いで同じくらいに酔って、同じ土俵で交渉する。この仕組みは中国でも同じようです。お酒の強さには個人差が大きいので少し不公平な気がします。アルコールを分解する酵素も訓練で誘導はされますが、生まれつき酵素の少ない人もいます。

仲間や友人と良い時間、会話、雰囲気、お料理、そしてお酒を楽しむのが宴会の秘訣です。
「差しつ差されつ」とは言うものの、お酒の強さには個人差があるので程々に。

 土佐のお座敷遊びに座興杯と言うものがあります。
可杯という飲み干してしまうまでは下に置くことができない特殊な杯を使用します。
この杯は、三面杯という「おかめ」、「ひょっとこ」、「天狗」の杯で、「こま」を回して向いたほうの席に座っている人が、こまに書かれている絵柄の杯にお酒を注いで、グイッーっと飲み干します。かわるがわる「こま」を回して、杯を決めながら一気に飲むという、なんと風流なお酒でしょうか。
酒を「百薬の長」にするか「命を削る鉋」とするかはあなた次第です。