◎特集 C型肝炎のおはなし   消化器内科部長 一條 哲也

はじめに

日本での慢性肝炎の約7割はC型肝炎で、患者数は全国で200万人にも及ぶといわれています。そのためかつて多くのヒトの命を奪った肺結核にかわる『第二の国民病』とも呼ばれているのです。


なぜ肝炎がおこるの?

原因はC型肝炎ウイルスの感染です。このウイルスは血液を介して我々に感染し、肝臓に寄生します。人の体では外から入ってきた病原体をリンパ球という血液細胞が攻撃します。このリンパ球がウイルスに感染した肝細胞を攻撃するために肝炎がおきるのです。
ウイルスに感染すると、まず急性肝炎になりますが、そのうち約7割はウイルスが排除されず慢性肝炎になります。


肝硬変症の臨床症状の画像

肝炎がおきるとどうなるの?

肝炎になると肝臓の細胞が破壊されますが、もともと肝臓は十分余力があるので最初はあまり症状が出ません。ですからC型肝炎には、自覚症状はあまりありません。
ほとんどの患者さんは病気に気づかず元気に暮らしており、検診などで偶然見つけることの多い病気です。「肝臓は沈黙の臓器」と言われるゆえんです。
しかし、どんどん壊れると最終的には肝硬変になります。
肝臓は栄養を作ったり、貯蔵したり、毒物を解毒したりする働きをしていますので、肝硬変になると体の栄養が足りなくなったり、体に毒が溜まったりして様々な症状がでます。(図)


日本の肝がんの成因別頻度の画像

肝硬変になると肝がんになるってほんと?

日本の肝がんの成因別頻度の画像肝がんは肝臓が悪くなればなるほどできやすくなります。肝硬変になると1年間で15人に1人は肝がんになります。また、年をとればとるほどできやすくなります。お酒や肥満も癌のもとになりますので注意が必要です。また、日本の肝がんの約80%はC型肝炎ウイルス感染に関連しているのです。(図)


C型肝炎の診断をする検査は?

C型肝炎患者さんの発見:HCV抗体、HCV RNA

HCV抗体は、C型肝炎患者さんを発見するためにまず行われる検査です。陽性の場合は、さらにHCV RNAの検査でウイルスの感染を確認します。このHCV RNAの検査が陽性であればC型肝炎と診断されます。

肝炎の活動性をみる〜 血中のGOT(AST)とGPT(ALT)

一番よく使われる検査で、肝細胞の障害の程度を反映します。ASTとALTは肝細胞の中に多く存在しています。このため、肝炎で肝細胞が破壊されると血中にALTとASTが出てきて値が高くなります。ですから、値が高いほど多くの肝細胞が障害されていることになります。C型肝炎では、おおよそ、40以下は低い、40‐80は中程度、80以上は高いと判断して下さい。

肝臓の硬さ、線維化: 肝生検、血小板の画像

C型肝炎は進行すると肝臓が硬くなります。
これは、長年の炎症で肝臓の中に線維が増えるためです。この線維化の程度は肝生検でみるのが一番正確です。肝生検で見た線維化の程度は国際的に1~4に分けられています(正常の場合は0)。
表に示すように、肝の線維化が強くなると肝がんが合併しやすいので注意が必要です。肝の線維化を簡単にみる方法として血小板の数があります。これは一つの目安とお考え下さい。


C型肝炎の治療はどうするの?

治療の二本柱は、①抗ウイルス療法と②肝庇護療法です。抗ウイルス療法は、ウイルスを排除して肝炎を治そうとするインターフェロン治療です。平成4年から一般に使われようになり、最近では格段に著効率が高くなっています。インターフェロンの効果が長く続くよう改良した『ペグインターフェロン』により、週一回の注射で効果がみられるようになりました。また、インターフェロンと併用することで効果を高める飲み薬の開発が進み、いくつか登場しています。これに対し、肝庇護療法は、ウイルスの排除はできません。しかし、炎症を抑え再生を良くすることにより、肝臓が硬くなるのを防ぐ治療です。副作用がほとんどなく、抗ウイルス療法ができない人には有用な治療法です。もちろん日常生活も大変重要です。C型肝炎では、当然、日常生活に気をつけることが大切です。禁酒は言うまでもありません。規則正しい生活と適切な食生活を心がけましょう。

C 型肝炎の治療は大きく2 つの画像