年頭にあたり

 院長  澤海 明人

日本国民の生涯の記憶に残る厳しい1年も終わり、新しい年を迎えました。地域の皆様の善意に支えられて完成した念願の新病院の竣工式典の3日後に東日本大震災が発生したわけですが、とても現実とは思えない津波の衝撃的映像を完成後間もない新病院で見ることになるとは想像もしませんでした。救護班として参加した当院の職員たちも、あの惨状を目の当たりにして感じた思いは複雑で重いものでしょう。それにしてもこれだけ多くの原子力発電所が建設されながら、裏付けとなる放射能の安全性や管理に関する学問やデータの集積の少なさに驚きます。私自身も原子力発電所に関して疑問も興味も感じていなかったことを今恥じていますが、事故後の対応も含めて東京電力も国ももっと的確な情報を国民に伝えるべきでしょう。医療の不確実性を正確に伝えなかった医療界やメディアの対応、国民の確実な理解も得られないまま医療制度を変えてきた国の政策と重なります。こうした医療の不確実性を埋めるものは、医療者と患者さんの間の思いやりと信頼関係であると思われますが、今福島は「風評被害」のさなかにあります。
京都五山送り火の騒動、愛知県日進市の花火騒ぎ、大阪河内長野市の橋桁騒動、被災地の瓦礫処理に関する問題などなど。震災直後は日本人の思いやりの深さと毅然とした態度を称賛した外国メディアも批判の目を向け始めています。今年こそ日本人の真の思いやりの心が試されます。

昨年から地域の集会、文化祭などの際にお伺いして医療の現状や病院の事情などをお話し申し上げる出前講座を始めました。地域の皆様との間に信頼関係を築くために今年もお話に伺わせていただきたいと思っております。どんな少人数の集会でも結構ですのでお声をかけてください。
“医療制度に対して正しい提言のできる医療に詳しい安曇野市民”と周囲が評価する地域となるよう頑張ります。