◎特集 目の老化:加齢黄斑変性症   眼科 栁平 朋子

 加齢黄斑変性は、眼球の中心である黄斑の加齢に伴う変化によっておこる疾患であり、高齢者の失明原因の一つです。欧米や日本において65歳以上の高齢者の社会的失明の主な原因となっています。
 ものをみる中心を黄斑といい、この部分にある網膜色素上皮細胞が加齢、紫外線などの影響で傷つくことにより、変性していきます。
 網膜色素上皮細胞が傷つき、徐々に細胞の栄養が不足し、少しずつ見えにくくなっていくタイプの病気を萎縮型加齢黄斑変性、変性した網膜色素上皮細胞から血管内皮増殖因子という物質が産生され、病的な新生血管である脈絡膜新生血管が出来上がり、網膜が障害され、急に視力が低下したりものが歪んで見えたりするタイプの病気を浸出型加齢黄斑変性と呼びます。

網膜の検査装置(OCT)

 この病気の発症の危険性は年を取ると共に増加し、患者数は高齢化社会に伴ってますます増加すると考えられています。
アメリカでは、中途失明の原因のトップとなっています。患者数は日本に推定43万人いるとされ、現在、加齢黄斑変性は社会的失明の第4位となっています。
日本では患者数は男性の方が多く、年齢が高くなるにつれて増加し、喫煙者に多いことが知られています。加齢黄斑変性になると、視力が低下したり、ものが歪んでみたり、真ん中に黒いものが見えたり(中心暗点)、コントラスト感度が低下したりします。

正常な見え方と加齢黄斑変性症の場合の見え方

 治療には、大きく分けて光線力学的療法(ビスダイン療法)と、注射療法があり、病気のタイプに応じて治療法を使い分けます。両方の治療を行うこともあります。これらの治療法はここ数年に広まったもので、それ以前に比較して、より多くの患者さんで視力維持が可能になってきましたが、完治する患者さんは決して多くないのが実情です。
 危険因子としては、加齢、遺伝、家族歴、環境因子(喫煙、運動不足、肥満)、紫外線、偏った食生活などが挙げられます。
 予防としては、禁煙して健康的な生活をするとともに、紫外線の防御、血圧管理、抗酸化物質( ビタミン、微量元素など)、ルテインなどの色素摂取が有効とされています。

 簡単なカードを用いて、見え方の自己チェックをすることができます。格子状の線を描いたカードを片目ずつご覧いただくことで、見え方が右と左とで異なっていないか確かめます。片目が見えている場合、もう片目が見えていなくても気づかない患者さんが多くいらっしゃいます。時々自己チェックをされること、検診を受けられることが早期発見のカギです。