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インタービュー外科部長

【第2回】 日本で、世界で一番多い手術

鼠径ヘルニアは腹腔鏡手術で負担をすくなく

最近の手術方法のトピックスは、傷が小さく体に優しいという腹腔鏡手術(ラパと言います)です。おへそに小さな穴をあけて、そこからカメラをいれて他2、3個の穴から道具を操作して行う手術です。安曇野日赤外科でもここ数年特に力をいれており、今年度は年間総手術数380例のうち100例を超しました。特に大腸がん、胃がんといった悪性疾患でも半数近くがこのラパの手術です。高難度の食道がんのラパ手術も一昨年から長野市民病院からのスタッフの応援をいただきながら実施しました。ラパは手術時間がかかりますが、術後の回復は早く、患者さんも我々スタッフも驚いております。やはり一番数の多い手術は、鼠径ヘルニアの手術です。世間ではよく“脱腸”と呼ばれるものです。世界の国どこに行っても一番多い手術です。弱くなった筋膜が原因で小さな穴があき(3か所ぐらいあります)脱腸になるわけですが、人工筋膜を移植する方法が今の方法です。通常はおなかの外から、大体5cm皮膚を切って、かたい人工筋膜をあてがう方法が多いのですが、傷の痛みが強いのと飛び出す穴の場所が不明確になりやすいことが欠点であります。ラパの手術は、臍から入れたカメラでおなかの中から、脱腸の原因の穴がすぐ確認され、腹膜をはがし、やわらかい人工筋膜を固定するという方法です。痛みもわずかで、左右の両方に脱腸のあるかたは、1度に修理できてしまいます。今年は年間約60名のかたがラパの手術となりました。

新しい技術をチームワークで対応する

傷も小さく患者さんの負担の少ない手術は、実は簡単ではありません。外科医は学会、ラパ研究会、県外のラパトレーニングセンター(残念ながら、今回に大震災で壊滅しましたが)に何度も出向き、いわゆる“武者修行”をしています。しかし外科医の経験と努力だけでは、達成できません。手術室スタッフである麻酔科医、看護師との緊密な連携がないとできない治療なのです。手術の安全性を高めるために外科医、手術看護師複数で院外施設に研修に出かけたり、全体勉強会で知識を共有したり、また看護師もラパ手術をデモで体験したりしています。新しい技術は、チームワークで対応することが最も必要とされることです。