インタビュー病院長 インタビュー循環器内科部長 インタビュー外科部長 インタビュー脳神経外科部長 インタビュー集中治療部長

インタービュー外科部長

松下啓二先生

安曇野赤十字病院

外科部長

松下 啓二

【第1回】 がんで生活レベルを下げない

外科医は、がんと闘う医師

患者さんは、がんになると精神的にダメージをうけてしまうし、やっぱりどんな治療をうけても生活の質がさがったりすることが、今社会的に問題になっていますよね。
日本で死因の多くのがんは、胃がん、大腸がんなどの消化器がんです。罹患されるかたもどんどん増えてきていますし、食生活にかかわる病気ということでケアがますます必要となってきています。さらに地域の住民が近くの基幹病院でがんの十分なケアを受けられるということが、これから本当に求められてくると思います。
がんの治療といえば、手術治療といわれるぐらい外科医がその治療の中心でした。手術後の定期検査、併存症の治療、再発したときは抗がん剤などの治療をおこない、最後の看取りまでしてきました。患者さんにとって、自分のからだをずっと診てもらい、信頼できる主治医は外科医であったわけです。現在でも日本は、消化器がん患者さんの主治医の8割以上が外科医です。

家の近くにがんの主治医がいる安心

がんは長期的な病気です。もちろん早期発見で、内視鏡や、またおなかを開けて手術したり、放射線治療で短期で治療が終了するケースもありますが、がん患者さんが1回の治療で終了するかたはまだ2―3割の患者さんに限られます。がんと共存していかなければならないかたや、再発して長期にわたって闘病生活をされるかたが多くいらっしゃいます。もちろん専門的な治療も必要ですが、生活の質を維持するためには信頼できるがんに精通した主治医がいて、継続していろいろ相談できる環境が求められています。国はそういう意味で、がん治療認定医制度を3年前にたちあげました。当院の外科スタッフ4名は、消化器がんの外科治療専門医であると同時に、がん治療全体をケアできるがん治療認定医となりました。主治医として消化器がんの手術治療はもちろんのこと、専門性の高い抗がん剤治療を、そして患者さんの住みなれた家庭や安曇野地域での療養をサポートする緩和ケアも実践しています。家の近くの病院に主治医がいるということが患者さんにとっては最も安心なことなのです。

抗がん剤治療と緩和ケアは一つ

新病院開設と同時に、抗がん剤治療専用の化学療法室がオープンしました。通院でできる抗がん剤治療が現在主流となってきました。長期にわたって通院される患者さんが最も心配されるものが、在宅での吐き気や倦怠感などの副作用と、体調が急変した時にどう対応してくれるかということです。入退院を繰り返すことも実際にはよくあります。がん化学療法は通院30分以内で実施できる地域の基幹病院が薦められていることもこのためです。化学療法室には、主治医のほか、がん薬物療法専門の看護師、薬剤師がチームを組んで化学療法を行っております。またどのスタッフも患者さんの生活背景や家族の気持ちも視野に入れ、“best of QOL”をめざしてかかわることを心がけております。